集英社文庫<br> 土に贖う

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集英社文庫
土に贖う

  • 著者名:河崎秋子【著】
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 集英社(2023/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784087444513

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内容説明

明治時代の札幌で蚕が桑を食べる音を子守唄に育った少女が見つめる父の姿。「未来なんて全て鉈で刻んでしまえればいいのに」(「蛹の家」)。昭和26年、最年少の頭目である吉正が担当している組員のひとり、渡が急死した。「人の旦那、殺してといてこれか」(「土に贖う」)。ミンク養殖、ハッカ栽培、羽毛採取、蹄鉄屋など、可能性だけに賭けて消えていった男たち。道内に興り衰退した産業を悼みながら、生きる意味を冷徹に問う全7編。圧巻の第39回新田次郎文学賞受賞作。

目次

蛹の家
頸、冷える
翠に蔓延る
南北海鳥異聞
うまねむる
土に贖う
温む骨

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

79
(2024-41)明治・大正・昭和・平成の北海道を舞台にした短編集。札幌の養蚕、野付半島のミンク養殖、北見のハッカ農家など、いずれも北海道という厳しい自然の中で続いてきた産業や職業の盛衰が描かれている。表題作「土に贖う」は戦後発展したレンガ産業。ノルマに追われた労働者達の過酷な生産現場は現在の「蟹工船」とも言うべき作品。短編ではあるがどれもずっしりと重く読み応えある小説であった。五つ星です。★★★★★2024/03/22

piro

51
かつての北海道各地の盛衰を描いた短編集。抗うことができない時代の流れ。容赦無い運命を受け容れ、生き、そして死んでいく。そんな人々の姿を描く河﨑さんもまた容赦無い。『蛹の家』の養蚕、『翠に蔓延る』のハッカ栽培、衰退していく営みに為す術のない人々の姿が悲しい。そしてミンク養殖業を描いた『頸、冷える』はまた違った悲しさに包まれます。でも連作となっている表題作と『温む骨』では弱い人間の確かな強さが一筋の光の様に感じられました。フィクションでありながら確かな存在感を以って紡がれる、地に足が着いた物語でした。2023/04/01

まーみーよー

30
とてもよかった。裏表紙にある「生きる意味を冷徹に問う」がぴったりである。表題作他6編。北海道内の今は衰退してしまった産業を軸に、必死に生きる人間たちが描かれている。冷徹でもあり力強い文章でどの話も良かったが、表題「土に贖う」と、その関連作「温む骨」2作が特に好みでした。2022/12/24

まさ

26
文庫本で再読。冬の厳しさを感じるとなおのこと読みたくなる。自然相手に抗ってもしかたないのに、動かせると思ってしまう人の性。自然の流れに身を任せるだけの時代でもない。やはり、贖うことを意識しないと。2023/01/28

Olive

23
凄い作家を見つけた。と思った。 維新後の北の大地で興りそして消えていった産業を短編で綴る。その一偏一偏に厳しい自然と共に生きざるを得ない人間の内面をえぐり出す。 緻密な分野研究に裏付けされた強い筆の力を感じる。2023/03/01

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