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内容説明
たった数行のコードが、世界の産業に壊滅的な打撃を与える--。07年、ロシアのハッカーはエストニアを攻撃、ほぼすべてのウェブサイトを不通にさせた。
14年、クリミア半島を併合したロシアは、15年にはウクライナの政府、メディア、交通機関へサイバー戦をしかけた。
重要インフラに焦点を当てた攻撃は、ウクライナをサイバー戦争の実験場とするものだという一部研究者の警鐘は無視され、ハッカー集団は攻撃性を増した。
その名は、サンドワーム。
15年、ウクライナ西部の送電網がハッキングされダウン、広域停電が起こった。同じ集団が、アメリカの電力会社にもマルウェアを仕掛けていた。
そして2017年、病院、製薬会社、空港、海運、郵便局、原子力発電所--世界中のネットワークが、マルウェアに感染し、莫大な損害を被った。
なかでも、ウクライナの受けた被害は甚大だった。これがサイバー戦争なのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
100
ロシアによるウクライナ侵攻は、ハッキングによるサイバー戦争を通じて行われてきた。企業や病院、電力システムに原発まで、ウクライナ国民の生活インフラはロシア軍情報部GRUのハッカー部隊サンドワームにより繰り返し侵入され、大きな打撃を受けてきた。こうした執拗な攻撃でウクライナ人にロシアの支配を受け入れた方がマシとの心情を植えつけるのが、ゲラシモフ参謀総長の長期目標だった。しかしウクライナが欧米の専門家の支援を得てサイバー攻撃への対抗に成功すると、我慢できなくなったプーチンが実力行使に踏み切ったのではなかろうか。2023/03/29
ばんだねいっぺい
32
これは、読み応えバッチリ。個人的には、セキュリティ災害への備えについての啓蒙の書となった。日本の全ての機械がアナログ切替できるようにしなければならない。そして、やっぱり、電気以外のエネルギーも必要だな。求む技術革新。2023/02/14
鮫島英一
22
リトアニアへのサイバー攻撃は海外ドキュメンタリーで多少知っていたが、ウクライナへのサイバー攻撃はあったとしか知らない。この知識の空白を埋める上で「サンドワーム」は非常に良い書籍だった思う。「ユーラシアニズム」「ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略」を事前に読んでいたこともあり、全体像が把握しやすかったというのもある。「サンドワーム」は良書であるが小説ではなくノンフィクション。知識を理解しやすくするのは頭の中で整理する必要があり、そのためには手に取る順番が重要なのだと改めて感じた。2023/05/09
Hideki Ando
4
今、翻訳されて良かったという本である。名古屋港において、ハッキングで荷下ろしが停止するという事態は日本でも起きている。サイバー攻撃には国境は無く、距離という最大の防御も効かないということを思い出させる2023/07/14
くらーく
4
こうやって読むと、本当にソ連→ロシアを生き長らえさせたのって、人類にとって最悪の失敗だったのではないか。1944年に戻って、FDRに滾々と説教をしたいわ。 ウクライナの悲惨な歴史も本書で分かるし、2014年以降の攻防が今に繋がっているのだねえ。他にも2018年の平昌オリンピックもロシアの仕業。 本当にね、ネットの世界だけでも良いから、抹殺出来ないのかねえ。少数の悪のお蔭で、どれだけ便利な事、楽しい事等が制限されるのやら。人間の本質は変えられないのかねえ。いやはや。何度も繰り返されて嫌になるな。2023/02/24