内容説明
肉体の性別とは違う性認識を持つことが尊重されるようになってきた。先進的に見えるが、じつは日本の古典文学には、男女の境があいまいな話が数多く存在する。
男同士が恋愛仕立ての歌を詠み合ったり、経済力のある姫が一族を養う。武士は泣き、女将軍が敵に向かい、トランスジェンダーきょうだいは男女入れ替わってすくすく成長――。太古の神話から平安文学、軍記もの、江戸川柳まで古典作品を通して伝統的な男らしさ・女らしさのウソを驚きをもって解き明かす。昔の日本の「性意識」がいかにあいまいだったか、それゆえに文芸が発展したかも見えてくる。年表作りを愛する著者による「ジェンダーレス年表」は弥生時代から現代までを網羅。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
20
最初の男神の子生みを自然に受けとめいたという話など「それは日本に限った話ではないのでは?」と疑問に思うところもあるが、女性の財産権と女性の政治的地位の関係、男性が妊婦の世話をするのは当然だった話など、日本の性をめぐる話は面白い。その一方で宣教師がドン引きするほど子殺しが横行していたとか、性被害の横行と罪の軽さ、目上の者による虐待だった男色など、性におおらかだった日本の裏面にもちゃんと触れており、「日本スゴイ」に落とし込まない点がこの著者らしくて評価できる。2022/11/16
めえめえ
12
日本人の性意識は昔から西欧と比べて緩かった。あちらでは逮捕されたり無意味な強制治療をされた話を聞きます。ただ無理解や差別はどこも同じ。結局性に関して寛容というより己の思いのまま傍若無人だったような気がしました。江戸時代に既に新宿二丁目に性的少数者がいたという話にビックリ。2025/04/23
lovemys
11
日本の昔は何でもありだったんだな、良い悪いは別にしても。昔は犯罪も多かったのだろうが、それは何処の国も同じ。ならば自由度の高い方がいいかも。ザビエルが来た頃、キリスト教徒は離婚もできないのか!男色もできないらしいぞ!と笑われたというから苦笑いしてしまう。そうね、キリスト教の方が私生活に関する戒律が多いかもと思ったり。昔の日本は寛容という言葉ではすませられない奔放さ。面白かったです。しかし、電車の中で読んでしまったので、ページをめくるたびに冷や汗が…。春画などが載っているので要注意です(*﹏*;)2023/03/13
tsubomi
9
2024.08.01-08.15:平安時代の通い婚時代、女性に財産権があり、相続もできて、大事にされたのが、鎌倉時代以降は女性が男性の家に入る制度になって徐々に女性の地位が低下したこと、地位の高い男性が目下の者に対して行った男色(パワハラ+セクハラ)、出産と穢れの意識の変化、親が子殺しすることに対する罪の意識のなさなど、日本史の中でのジェンダーや家族制度の意義と変遷についてわかりやすく、そして予想以上に真面目に書かれた本。ジェンダーやセクシュアリティー、差別に苦しむ人は昔も今も多くいるということを再確認。2024/08/15
Aby
9
日本の古典をジェンダー視点で分析すると,現代との違いが見えてくる.「昔は,男は/女は~」という懐古調の考え方も,せいぜい江戸から明治あたりで成立したもの.◆良いことばかりでなく,暗い側面にも言及している点が良い.2022/12/24
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