内容説明
河南省の延津には、夢に現れて笑い話をせがむ“花二娘”の伝説があり、彼女を笑わせられない者は死んでしまうという。そんな延津で伝統劇『白蛇伝』を演じた三人の男女の運命が、花二娘の伝説と絡み合う。中国の茅盾文学賞作家が上質なユーモアで描く最新長篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
31
一日三秋とは、一日顔を合わせないだけで、三年も過ぎ去ったような気がするーそれほどに相手に対する情愛が強い例である。河南省延津に伝わる"花二娘"の、相手に恋焦がれる気持ちがまさにそうだ。長い間花二郎を待っていたが、待てど暮らせど戻ってこない。待っている間に川・雁・水に「あなたたちは変わらなくていいわね」と声をかけるが、皆以前の彼等とは違うことを知る。皆に笑われ、人を待つことが笑い話になったと知った花二娘は山になり、夢に現れて笑い話をせがむようになる。彼女がする笑い話はいつも同じだ。2023/02/03
よっち
25
河南省の延津にある、夢に現れて笑い話をせがむ花二娘の伝説。伝統劇『白蛇伝』を演じた三人の男女の運命が、その伝説と絡み合う物語。劇団の役者だった李延生と陳長傑、女優の桜桃の複雑な三角関係からの関係の変化。武漢に移った長傑に会いに行くことで受け継がれた思いがあって、子供世代にもストーリーが移ってゆくなかなか壮大なスケールの物語でしたけど、全てが笑いになるわけではない人生中で、笑いが持つ力を考えさせられる内容で、日本人とはまた少し違った考え方だったり、それでもさくさく読ませてしまう圧巻のストーリーは流石でした。2023/01/30
スイ
14
いい小説を読んだなぁ…。 著者の作品を読むのは初めてで、解説でこれまではリアリズム小説ばかりだったと知って仰天するほど、自然なマジックリアリズム小説だった。 三部構成のそれぞれで個人に焦点を当てているけれど、その個人の後ろに積み重なる数多の人生が感じられ、大河の流れを眺めているようだった。 読み終わって数日経っても、まだ余韻に浸っている。 再読したい。2023/04/09
さとうしん
10
夢の中で笑い話を請う花二娘の伝説が色濃く残る河南延津。この地で白蛇伝を演じる三人の男女の役者の物語から話が始まり、更にその息子の世代へと話が移っていく。テーマも「伏線」も何もあったもんではないが、話に勢いがあり、とにかく読ませる。要するに様々な人生の悲哀が詰め込まれた小説ということになるだろうが、そんな陳腐な言葉でまとめたくないという気持ちにさせられる。2023/01/09
まこ
7
読み終わった後に最初に戻ると、明亮の半生のどこまでが真実で、何処から著者の創作なんだろう。明亮の引越しやお金を得る理由にファンタジーの要素を取り入れて現実との境を曖昧にしてる。芝居が廃れてテレビが台頭し、後半にはスマホも登場する時間の流れが現実なのに夢みたい。2023/06/04
-
- 電子書籍
- 小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される【ノ…
-
- 電子書籍
- ホワイト・ファング 狼は還らず トクマ…