内容説明
「私、先輩のことが世界で一番――嫌いです!」高校二年生の霧崎陽奈斗が、下駄箱に治められていた手紙に書かれたメッセージを見て、浮かれながら向かった屋上。その場に現れた美少女――七草音葉から発せられたのは、とても告白とは思えない言葉だった。
「てことで、私に付き合ってください。先輩♪」などと言う音葉に不信感を募らせる陽奈斗だが、彼に音葉が語ったのは、記憶が消えてしまう前に、強烈に記憶に残る思い出を作りたいからというもの。呆れて帰ろうとする陽奈斗に、音葉はさらに強引に迫る。その理由は――! 記憶というパズルのピースがこぼれ落ちていく中、二人の想い出は美しく積み重なり――! 青春ラブストーリー開幕!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
高校二年生の霧崎陽奈斗の下駄箱に収められていた手紙。浮かれながら向かった屋上で、彼が世界で一番嫌いだという後輩・七草音葉と運命の出会いを果たす青春小説。意図も分からず不信感を募らせる陽奈斗に、強烈に記憶に残る思い出を作りたいと告げる音葉。いろいろ付き合わされる中で少しずつ変わる思い、そして明らかになってゆく彼女が直面する事情。大切な記憶というパズルのピースがこぼれ落ちていく現実は残酷で、失っても取り戻したい大切な思いがあって、すれ違いながらも追いかけ続けた夢が再び紡いでくれた結末はなかなか良かったですね。2022/12/26
オセロ
30
下駄箱に入れられたラブレターとおぼしき手紙に喜びが隠せない高校二年生の霧崎陽奈斗。呼び出された屋上で待っていたのは、陽奈斗のことが世界で一番嫌いという後輩の七草音葉。そんな最悪の出会いから始まる最高の青春物語。 好きなものをどんどん忘れていく、パズル病を患う音葉の希望で、様々な場所を巡って、思い出が増えていく中で音葉に起こる最悪の事態。 失ってから気付いた音葉の大切さと本当の願いに応える為に、音葉が思い出させてくれた夢を必死に追いかけて、辿り着いた結末にはグッとくるものがありました。2023/01/03
サキイカスルメ
16
「先輩のことが世界で一番嫌いです!だから付き合ってください♪」後輩七草音葉(おとは)から謎の告白をされた霧崎陽奈斗(ひなと)。好きなものが消えていくパズル病を巡る青春ラブストーリー。好きなものの記憶が消えるという点、パズルのピースとして記憶が欠けていくという点に美しさと切なさを感じられてよかった。なぜ音葉は陽奈斗に大嫌いと言ったのか、なぜ陽奈斗だけが音葉の欠けたピースを認識できるのか、それがわかった後の怒涛の展開も面白かったです。音葉が健気な子なんですよ。イラストでの表現も素晴らしかったです。2023/01/12
真白優樹
14
ごく普通の日常を過ごす少年の元、呼び出してきた少女に大嫌いと告白され始まる物語。―――零れ落ちる欠片、繋いで見える無償の愛。 告白とも呼べぬ告白から振り回され、記憶を無くしていく彼女を支えようとする中、欠片を繋ぎ合わせる事で全てを覆す真実が見えてくる物語であり、何もかも無くしても今度は無くさなかった大切なものが、奇跡を齎していく一抹の感動がある物語である。時を超えて噛み合った二つのパズル、すれ違いを経て繋がった欠片はもう離れない筈。故、これからは大切にしてほしいと切に願う。 うん、とても面白かった。2022/12/30
彩灯尋
13
体から他の人には見えないパズルが剥がれ落ち、記憶も一緒になくなっていってしまうパズル病。終盤に進むにつれてパズルが完成していくかのように完成されていくストーリー。とても面白かった。これは2周目も楽しめる作品。頭の中で反芻し、ゆっくりと気持ちがいい読後感に浸ろうと思う。2023/04/10