内容説明
直木賞作家の最新エッセイ集。いつかは自分だけの一文に出会える。まずは求めよ。話はそれからだ。
小説と旅は似ている。物語を突き動かすのは葛藤だが、旅だってそうだ。私たちは、自分では処理もできなければ理解もできない衝動に突き動かされて最初の一文、もしくは最初の一歩を踏み出す。魂に抱えこんだ葛藤をどうにかなだめるために。小説と旅がこれからの私を定義していく。今回はその手始めだ。(本文より)
【著者】
東山彰良
1968年台湾生まれ。福岡市在住。2002年に第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞し、翌年『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。『路傍』で第11回大藪春彦賞、『流』で第153回直木三十五賞、『罪の終わり』で第11回中央公論文芸賞、『僕が殺した人と僕を殺した人』で織田作之助賞、読売文学賞、渡辺淳一文学賞を受賞。そのほか『どの口が愛を語るんだ』『怪物』など。
目次
1 転機はふいに霧の中から。台湾への旅がはじまりだ!
2 猫と始めた新しい暮らし第二の人生はここから。
3 子どもたちを育んだ町から新天地へ旅立ちのとき。
4 懐かしさと諦観とままならぬ世にも浮かぶ瀬あり。
5 酒なくて何がわが人生ぞプリミティブな酒に酔う日々。
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
19
ふざけた作家と思ってたら、案外真面目というかどうもイマイチあわない作家さんではある。初期は結構おちゃらけた作風だと思ってたけど、なんだかだんだん手堅くなってきたような。売れる前は乳丸出しだったのに、売れたら水着もやらなくなったグラビアアイドルみたいでなんかイヤなのであろうか、金持ちと結婚して昔は乳揉んでたのにというような元カノみたいなものかと。福岡小郡なんだ、今日行こうかなと思った。2023/03/19
DEE
9
旅をテーマにしたエッセイは、コロナ禍真っ只中の時期はきつかっただろうな。いくつもの制約がある中でのこの連載は、さすが作家といったところか。今は売れっ子でも苦労の時期はあったのか。ちょっと勇気付けられた。台湾、また行かなくては。2022/12/21
カツ
7
地方新聞に連載したエッセイを纏めたもの。なので地方色が強く、他のにしとけばよかったと後悔。小説じゃないので東山節もないしな。なので自分的にはイマイチでした。2025/01/11
toshi
6
あちこちに書いたエッセイをテーマ別にまとめたものなので、内容がかぶりまくり。 同じネタでいろんな媒体に書いていたんですね。 とりあえず本に纏める時には、かぶらないように載せないとか、一つのエッセイに書き直すとか読者のことを少しは考えて欲しいものです。 「小さな場所」を読んだとき、「もしかしたら著者の子供のころの話なのかも?」って書いたけど、その通りだった。2022/12/02
あつ子🐈⬛
5
この方の文章に一目惚れしてから幾星霜。本書も、とても良かった。愛猫カグラ君のくだりは同じ猫飼いとして、ほわほわしてしまう。どうかずっと日本にいてくださいませ。2023/01/16