ちくま文庫<br> ゴシックハート

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ちくま文庫
ゴシックハート

  • 著者名:高原英理【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2022/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438454

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内容説明

「ゴシック」とは何か? それは生き方である。自己の必然に基づいた命懸けの好みである。そして永遠のレジスタンスである。強者が富み続け、優位者が一方的に決めた規範に支配される現実の不条理を憎み抵抗するとき、その扉は開く。小説、漫画、映画、アニメ、絵画、人形、信仰、哲学、歴史―現代日本的ゴシック文化論を切り拓いた一冊に、新章&書き下ろしあとがきを加えた増補新版。

目次

〇1 ゴシックの精神/1 ゴシックハート/2 ゴシックの歴史/3 現在のゴシック/〇2 人外/1 「人外」の心──中井英夫、江戸川乱歩/2 フランケンシュタインズ・モンスターの「人外」/3 吸血鬼の「人外」/〇3 怪奇と恐怖/1 怪奇への愛──『アッシャー家の崩壊』/2 恐怖の探求/〇4 様式美/1 「ゴシック耽美主義」の文学──三島由紀夫、澁澤龍彦/2 絵画・映像のゴシック耽美──建石修志、村上芳正、ウィトキン、シジスモンディ/〇5 残酷/1 ゴシックな残酷さ──『責苦の庭』/2 江戸川乱歩の作法──『残虐への郷愁』/3 サドとその後裔──『悪徳の栄え』『マルドロールの歌』/〇6 身体/1 肉体という呪縛/2 サイボーグ的超越──『攻殻機動隊』『銃夢』/3 権力としての美貌/4 選ばれなかった者の挑戦──『ヘルタースケルター』/〇7 猟奇/1 人体への執着/2 身体欠損をめぐる物語──『芋虫』『使い切った男』『蠅男』/3 死体を介した連帯──S・キング/〇8 異形/1 醜さと不幸──『のろいの館』/2 醜さと悪──『みにくい悪魔』/3 姉妹の物語──『おそれ』/〇9 両性具有/1 両性具有を望む精神──マリリン・マンソン/2 天使/小悪魔のゲーム──浅田彰/3 カストラートという性──『ポルポリーノ』/〇10 人形/1 球体関節人形の起源──ハンス・ベルメール/2 ゴシック・ドール──四谷シモン、三浦悦子/3 人形化願望──『O嬢の物語』『DOLL』/4 人形主義──マリオ・A/〇11 廃墟と終末/1 廃墟を愛する心──レーンドルフ、フリードリヒ、グラック、稲垣足穂/2 世界の終わり──モンスー・デジデーリオ/3 救済のない黙示録──『デビルマン』/4 あてのない世界改変──『新世紀エヴァンゲリオン』/5 中井英夫とグノーシス主義/〇12 幻想/1 過度の想像力と文学/2 日本幻想文学の自覚/3 ゴシック・シュルレアリスム──キャリントン、バロ/〇13 差別の美的な配備/1 差別/2 ヴィクトリア/3 一九三〇年代日本、探偵小説/4 一九六〇年代日本、前衛芸術/5 現在/エピローグ ゴシックな記憶/単行本版あとがき/立東舎文庫版あとがき/ちくま文庫版あとがき/参照・参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

55
文庫がでたが、単行本で借りる。アンソロジー「リテラリーゴシック・イン・ジャパン」の編者の評論集があるとは知らなかった。著者が語る「ゴシック」なるものを小説漫画などの作品から論じる。いやあビンビン響きまくりで嬉しくなってしまった。特に岡崎京子「ヘルター・スケルター」に感心。文庫を買いに行こう。「だが、みじめで貧しい醜い者の悲しみより、美しく憧れられる者の激痛を、りりこは選んだ。この選択をよしとする心は誰しもあるはずだ。そしてそれを拡大すれば、みじめで貧しい醜い者として生きるくらいなら死んだほうがまし、2022/12/25

Porco

7
「ゴシックハートは怪奇を愛する心である。また恐怖を探求する心である。」 私にとってのゴシックとは悪徳への賛美である、もしくは正常性を見定める力ある反発であり最後には敗北するものである。悪徳は栄えてはならぬが清水で生き抜けるほど人は正しくはない、人心の陽の部分は汚泥の中でこそ白百合のように光り輝き陰陽合わさってこそ人は真っ直ぐに歩けるのだ。そういう意味ではゴシックハートは自分の物事に対する目線をフラットに維持するための指針とも言える。 (1/2) 2023/01/03

青沼ガラシャ

3
様々な時代、地域、ジャンルを横断して収集した事物を整理し、パンチで穴を開けファイルに纏めたような、ゴシック文化を構成する要素を明晰に論じた一冊。そして同時に「ゴシックの精神」を執拗に問い続け、読者を鼓舞し続ける「ゴシック者宣言」でもあった。2023/06/03

サイトー

3
いまや使用用途が網目のように広がった「ゴシック」についての評論。領域横断的に種々ジャンルを越えて語られる「ゴシック・ハート」は、この世界への反抗精神が曖昧具体も含めて織り交ざった美学の形態のように思われた。個人が世界を意識した時、ふと美(への意識)が宿ってしまう様式の一つとして怪奇猟奇の世界が出現する。いわば人々の死への憧憬が求めてやまないファルスの類例がいくつも提示される。言葉に酔いしれるでなく冷静な視点から語られるのはこの著者ならではの芸当。「差別美」まで切り込みを入れるのは読み応えがあった。2023/03/23

Rieko Ito

2
日本のゴシックがテーマ。西洋のゴシックの部分は深みがなかったし、日本のゴシックは私には興味がなかった。唯一面白かったのは、左翼思想が当たり前だった60年代に、ゴシックがみずから意図した反時代性について述べられている部分。2023/05/20

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