内容説明
【人気連載、待望の書籍化！ 珠玉のエッセイ集】
私は東京生まれだけど、ずっと「私には行けない東京」があります。
移ろいゆく空の色。
転校していったまま住所のわからない女の子。
もう知らない人が住んでいる生まれた家。
失われ、手の届かないがゆえに
永遠となったものたち。
欠けた私を探しにゆく、フラジャイルな旅へ。
【本文より】
「運命ってあると思う？」
さっき出会ったばかりの彼女が私に訊きました。
カフェのテラス席はパラソルヒーターで暖まっていて、
私の紅茶も彼女の珈琲もまだ冷めていません。
――（「運命」）
【装丁】佐藤亜沙美
【装画】須川まきこ
【目次】
はじめに ５
001 知らない家の窓灯り 013
002 夏休みのラジオ 19
003 私の東京 24
004 SWIMMER 31
005 代々木１‐54ビル 35
006 レズ風俗 43
007 運命 57
008 コンタクトレンズ 69
009 ダイエット 73
010 なくしもの 79
011 心の傷 86
012 祖母と友人 91
013 おじいちゃんの自転車 100
014 猫の死に際 105
015 冬の様子 110
016 人生 116
017 紫陽花と友人 122
018 忘れられない恋 130
019 骨折 137
020 弟持ち長女 145
021 偏頭痛 152
022 コーマワーク 156
023 ダイアログ・イン・ザ・ダーク 164
024 登山 181
025 喪失と再生 189
026 身体 207
終わりに 217
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
16
元地下アイドルで女優、ライターでもあり、去年にはイラストレーターの寺田克也さんと結婚もした姫乃たまさんのエッセイ集です。実は私も彼女のCDを持ってます。がこの本何と晶文社からの刊行ということは最早文化人の仲間入りですか？なんて事はさて置いて、都会っ子の彼女から見た東京の事、思春期の思い出、家族の事、自身の病気や怪我の事などなど、下北沢生まれがこんなにはまるアイドルなんていませんよ！でも気になったのは、余りに自己評価低すぎませんか？もっと自信を持って遠慮せずにやりたい事やってくださいな！応援してます。2023/01/21
ふじこ
4
〈私は東京生まれだけど、ずっと「私には行けない東京」がありますーー〉20代だった姫乃さんが感じてきた永遠なるものたち。もう触れることのできない思い出たちは、ふとしたときに記憶の箱から顔を覗かせて胸をきゅっと締め付ける。SWIMMER、レズ風俗、友人の忘れられない恋、祖母の友人。もう一度巡り会うことはきっと叶わない。気付くのは渦中ではなくいつも過ぎてしまったあとのこと。彼女を通り過ぎていったそれらをひとつひとつ、飴を舐めるようにゆっくり読んだ。欠けてしまった私自身が少しだけ見つかったような気がした。2023/04/19
せんべい
3
元地下アイドルの著者。独特の語り口にハマりそうです。女の魅力は股下三角。 股下三角とは、股下と太ももの間にできる三角形の隙間。 無いものこそ魅力的？ あ、ドーナツの穴みたいな？ 手に入らない物や、行けっこない場所に憧れるみたいな？ 何だかブッタの言葉みたいで、意外に深い本でした。2023/01/01
SATAN'S TOY
2
何か一気に読むのが勿体ないような気がして寝る前に少しずつ読んだ。繊細ではあるが柔らかいユーモアを含んだ文章は、おそらくは相当辛かったであろう体験さえもどこか客観的に描写されていて、趣味の話などの軽い話と同列に並べられていても違和感がない。時々パラパラと読み返すことになりそう。2023/01/11
読書忘却人
1
知り合いからの紹介で読んでみました。なんとなくわかる感じのこともある……でも、この独特な感性についていけないって感じた。そんなにいろんなことを深くというか繊細に自分は考えてないのだろう……もしかして、恋人がこんな感性の持ち主だったら惹かれるかもしれない……でも、途中からめんどくさいって思うかもしれない。2024/02/15
