内容説明
照月堂の職人見習いとして厨房入りを許されたなつめ。胸をふくらませて修業初日を迎えたその朝、主の久兵衛からまず教えられたのは「一本の道を進んで行く時、その先に一つの石ころも落ちてねえなんてことはあり得ねえだろう」という気構えだった。なつめはこの言葉を深く受け止め、菓子屋の要である餡作りを一から学び始める。一方、久兵衛が作る菓子の味わい深さに気づき、危機感を抱く大店・氷川屋の主人勘右衛門は、なにやらよからぬ動きを見せ始め─大好評シリーズ第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
102
シリーズ3巻目。ますます面白くなってきました。 女ではあるけれど菓子職人への道を歩むと決めた主人公のなつめ。そのなつめに、"一本の道を進んで行く時、その先に一つの石ころも落ちてねえなんてことはあり得ねえだろう" と諭す照月堂の主・久兵衛。すばらしい人を師匠に持ったものだと、読んでいて嬉しくなります。そして、なんでも話せる友と呼べる人ができた幸せ。でも、その友の父親が、大店・氷川屋の主人であり、よからぬ動きを見せていることの皮肉。波乱含みの終わり方に、次作を早く読みたくなります。2020/08/23
もんらっしぇ
69
二兎を追う者は一兎をも得ず。シリーズ途中まで読んでほったらかし状態のなつめちゃんと牡丹堂の小萩ちゃん(中島久枝作:日本橋牡丹堂 菓子ばなし)。「棗(なつめ)」まずは免疫力アップやストレス減への効果を狙って前者から積読を消化しましょう…などとクダラナイことを書いているからレビューが長くなります(-_-;)いよいよ菓子職人を目指し一歩進んだなつめちゃん。今までは「なりたい病」で唄読み、絵師やお針子などある程度習得すると分かったつもりで見切ってしまうクセがありましたが今度は大丈夫でしょう。さあ基本の餡作りから!2021/07/14
優希
47
職人見習いとして厨房に入ることのできたなつめの心はどんなに嬉しかったことでしょう。菓子屋の要である餡作りから始めるのも真面目な性格故だと思います。なつめの作った美味しいたい焼きが食べたくなりました。2023/04/10
ユメ
43
念願叶って菓子職人として修行をさせてもらえることになったなつめ。厨房に入る初日、照月堂主人の久兵衛がなつめに諭した教えが胸に響いた。「もしおまえが己の才を乏しいと感じる時が来たとしても(中略)それを理由にたやすく道を離れるな」自分で才能を見限って諦めてしまうことが夢への道を閉ざすのだと言われ、はっとする。意志を貫くことはもしかしたら何より難しいことなのかもしれないけれど、なつめには女でありながら菓子職人になるという夢を叶えてほしいし、私も励みたい。今作も和菓子の意匠や和歌を堪能することができたのも嬉しい。2018/11/21
kagetrasama-aoi(葵・橘)
40
「江戸菓子舗照月堂」第三巻。氷川屋の娘しのぶと友人となったなつめ、先行き不穏なことが起こらなければいいんですが…心配です。照月堂の二人の息子、郁太郎と亀次郎がとっても可愛らしくて、このまま健やかに成長するのを楽しみに読みたいです。なつめはいよいよ菓子職人の修業を許されました。先ずは餡から!頑張って欲しいです。2021/07/28