内容説明
従来「法は家庭に入らず」の典型であった刑法が,近時はDVや児童虐待など家庭で生じる様々な問題事象に介入している。「家族構成員を守る場」である家庭が「犯罪の温床」にもなるとの刑法研究者の問題提起を中心に,民法研究者のコメントが添えられる意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sk
4
家庭への理解と刑法への理解がともに深まった。2023/02/21
てくてく
3
「書斎の窓」に2017年から2020年の全15回掲載された文章をまとめたもの。著者が在外研究を行っていたドイツの話題やコロナ対策の話題なども追記されている。家族への法の介入がある程度は望ましいものとして理解されるようになった現在、変化しつつある家族の法の関係を考察している。やや硬い文章なので、ゼミの報告課題にしても良いかもしれない。2022/03/17
kiriya shinichiro
2
有斐閣の本なので読んだ。期待通りきちんとした法律本だった。「あっこれ正当防衛にならないのか」とか「そんなことまで犯罪なのか」とか「有罪にならなければ相続OKなの?」とかいろんなことがわかった。2021/11/14
デンドロかかあ
1
刑事法の視点と民事法からの視点をクロスさせたことで、奥深さと多層化に成功している。更に日本の刑法とドイツ、オーストリア、スイスの法規を比較した解説を読めば、社会と刑法の関係性が浮かび上がる。特に親族相盗の不合理さは、比較対象があることで、問題の所在が明確になったと思う。共同親権が導入されることで、これから変化が予測されるジャンルもあるが、考え方のヒントになる解説が多く、大変参考になった。2024/04/13
TM
1
家族とのかかわりで刑法を考えていく興味深いテーマの本。読みやすくて面白い。理論的に詰めていくというよりは,どういう点で家族と刑法が関わってくるのか,どういう問題があるのか,というのを国際的な状況も含めて紹介していくような部分が多く,問題提起のための本といえそう。それぞれのテーマ自体は実務でもよくよく考えるとわからないね,となるようなものなので,より深い研究が出てくるのに期待です。2021/10/17