内容説明
「今の職場、“ゆるい”んです」「ここにいても、成長できるのか」。そんな不安をこぼす若者たちがいる。2010年代後半から進んだ職場運営法改革により、日本企業の労働環境は「働きやすい」ものへと変わりつつある。しかし一方で、若手社員の離職率はむしろ上がっており、当の若者たちからは、不安の声が聞かれるようになった――。本書では、企業や日本社会が抱えるこの課題と解決策について、データと実例を示しながら解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
132
新規大学卒就業者の3年以内の離職率は約32%前後。大手企業で徐々に上昇傾向である。「仕事がきつくて辞めていく」若者と並び「仕事がゆるくて辞めたい」と思っている若者が増えている。若者雇用促進法、働き方改革関連法、パワーハラスメント防止法などで職場環境は改善された。労働時間の減少、職場からの支援の増加などは若者にとってよいことだが、成長実感の乏しさ、キャリア形成の不安などが調査で見てとれる。もう、いい大学から大企業で逃げ切れる時代ではなくなった。著者は自由を生かすのは動機だと言うが、誰が若者を育てるのだろう。2023/02/01
なっぱaaua
66
法律の整備によって日本の職場全体が急激に緩くなったことを問題提起している。若者が緩いという話ではない。以前は職場の不満(ハラスメント、時間の制約)が転職の要因だったが、今はこのままで成長できるのかという不安からくるものだという。生産性という点でも今の方が健全で、でもハラスメント恐怖で上司がメンバーと関われなくなっているという事だが、とにかくメンバーとは対話で徹底的に向き合うしかないのが今のマネジメントだと思っているので、とにかく傾聴してフィードバックするしかないのだと思う。現状がよく認識できて良かった。2023/04/06
白いワンコ
47
弊社(中小企業です)においても、社員意識調査で「職場がゆるくなっている」という意見が多かった。その理由はやはり若者の入職を促進し、若者に好かれる職場を目指したことにあったと思う。本書にはそうした環境下、いかに若者を育てていくかという示唆にあふれている。すぐに腹落ちできない指摘も多いが、『仕事の関係負荷なく質的負荷だけどう上げるか』等、落ちたものから試行錯誤し実践したいと思う2023/01/23
kawa
45
最近の労働法制の変化により若手社員の職場環境は、昔のスパルタ式が影をひそめ、「ゆるい職場」環境に様変わり、ある意味働きやすい環境に変化してきている由。にもかかわらず若手の離職率は高止まり。その原因は彼・彼女らの職場への「不満」が、自己のキャリア形成への「不安」に変化してきている論じ、これに対する幾つかの処方箋を提示する。今となっては、余り縁のない分野の考察がかえって新鮮。そう言えば、若い頃このままで良いのかという「葛藤」に常につきまとわれていたような気がする。懐かしい思い出だ。2023/05/12
りんだりん
38
過労死やパワハラセクハラなどの社会問題を背景に進んだ労働関連の法整備。職場環境の改善をもたらした一方、若者が仕事を通じて成長を実感できない「ゆるい職場」になっていると指摘する。そこには自分が若手と呼ばれた時代に厳しく育てられた管理者がどうしたらよいか分からずもがく姿がある。会社自体も試行錯誤している。管理者や年長者が正解を持てない時代だから、会社や上司が育てるのではなく横のつながりや外とのつながりに答えを見出しては?との提案が出てくるがモヤモヤ感は否めない。自分で考えるために様々な視点をもらえる良書★32023/03/10
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