狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅

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狂伝 佐藤泰志 無垢と修羅

  • 著者名:中澤雄大【著】
  • 価格 ¥4,180(本体¥3,800)
  • 中央公論新社(2022/12発売)
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  • ポイント 1,520pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784120055300

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内容説明

佐藤泰志は村上春樹と同世代の作家。芥川賞に5度ノミネートされながら受賞できず、1990年に41歳で自死。しかし、2000年代後半になって再評価が進み、『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』『きみの鳥はうたえる』『草の響き』などが次々に文庫化され、また映画化されている。

高校生作家として脚光を浴びながら、その作家生活が挫折に満ちたものになったのはなぜか。そして、30年の時を経て、その文学が読者の心を むのはなぜか。近親者はもとより、小学校のクラスメイトから大学時代の同人誌仲間、泰志が一方的に思いを寄せた後の直木賞作家・藤堂志津子、ライバルの作家たち、文芸誌編集者らまで、あらゆる関係者に直接話を聞き、文学に希望があふれていた時代の光と影を再構築する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

53
41で自死した作家佐藤泰志の評伝。近年残された作品が文庫化されたり映画化されることで作品に触れ気になっていた。元新聞記者が10年かけて、遺族の家族や関係者などにインタビューしたり、残っている手紙などから作家の短い生涯を追う。この本の取材で初めて明かされたそうだが、作家藤堂志津子にモーションをかけていたことがあって、彼女は辛辣で的確な泰志像を述べていて面白かった。世間に認められないこともあるのか、晩年はアルコールとうつ病?で家族に当たっていて、彼の自死を知って、妻はこれで楽になると安堵したとか。良書。2023/06/09

ぐうぐう

38
序盤、エッセイのような自分語りが続くことに懸念を覚えるも、その懸念は読み進めていくうちに霧散する。自分が佐藤泰志の評伝を書く資格があるかという自問と、それでも書きたいのだとする強烈な想いを綴る行為は、まずは読者(及び関係者)への許しを請おうとする著者の誠実さの表れだ。佐藤泰志の、決して長くはなかった、しかし濃密な人生を追い、語るための、それは覚悟でもある。つまり中澤雄大は読者以前に、佐藤泰志に誠実であろうとする。その誠実さは、十余年の時間を有し、1,500枚の大著として結実した。(つづく)2022/06/08

kuukazoo

20
約30年前に41歳で自殺した1人の作家の人生が600頁にぎゅう詰め。10年かけ膨大な資料にあたり多数の関係者にインタビューしまくった緻密な取材に基づき描き出された佐藤泰志の挫折と苦闘の日々、多くの人を困惑させ怒らせ悲しませ、それでも愛されていた彼の赤裸々な姿(まさに無垢と修羅)にドン引きしつつも引き込まれる。正直、藤堂志津子のインタビューが全てを物語っている感はある。60~80年代の若者を取り巻く社会状況や文化、時代の空気感も感じられ面白い。当時の中央に対し地方文壇や同人誌が生み出した気運も興味深かった。2022/09/11

Hiroo Shimoda

11
佐藤泰志の名は知らなかった。昭和の空気感、不器用な生き様が緻密に描かれる、熱量のある評伝。2023/02/02

imagine

10
本の雑誌2022年間ベスト2位。佐藤泰志の叙情的な作品群と、危うい人間性に魅了された著者。賞レースに敗れ続け、生活と創作の狭間で自ら命を絶った佐藤を成仏させるかのごとく、全国紙記者の仕事を辞め10年の取材の末に生み出された労作。副題「無垢と修羅」の、「修羅」側を、よくぞここまで踏み込んだ。芥川賞選考のいきさつ、関わりを持った女性達、妹を冷遇した親族…。もはや執念が伝わる取材は、元記者というよりも刑事のよう。同じく若くして夭折した映画俳優、金子正次を烈しく語り継ぐ『竜二漂泊1982』に匹敵する充実の読後感。2023/01/21

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