内容説明
★第27回電撃小説大賞《大賞》受賞のSFクライムドラマ・第5弾★!
――いつか私の「秘密」が公になったとしても、どうかかばわないで下さい。
敬愛規律の「秘密」を頑なに守るエチカと、彼女を共犯にしたくないハロルド。対話を避ける二人の溝は深まっていた。
そんな中、解読が続けられていた謎のAI「トスティ」が、ドバイの技術研究都市「ファラージャ・アイランド」で開発された可能性が浮上する。所有者の人格を反映した分身アミクス「ego」が浸透する都市への潜入捜査は、その環境の特殊さから困難を極める。研究都市に住む天才少年・ユーヌスの協力もあり、徐々に真相に近づくエチカたちだが、同行していたビガの身に異変がおこって――。
エチカとハロルドが出会ってから一年、彼らの長い冬が、また始まる。
【STORY】
序 章 雪暗
第一章 閉ざされた研究都市
第二章 亀裂
第三章 地中の蛹たち
第四章 終曲、そして序曲
終 章 反故
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
41
解読が続けられていた謎のAIトスティが、ドバイの技術研究都市ファラージャ・アイランドで開発された可能性が浮上。そこにエチカとハロルドが潜入捜査を試みる第五弾。環境の特殊さから困難を極める分身アミクス「ego」が浸透する都市への潜入捜査。一方で敬愛規律の秘密の共犯にしたくないハロルドと、対話を避けることですれ違ってゆく頑ななエチカ。お互い相手を大切に思っているのに、それがちゃんと伝わってないのがとても切ないですが、認識の摺り合わせのための言葉が足りていない二人だけでなく、物語としても今後の展開も楽しみです。2023/01/06
羊山羊
17
壮大なツンデレノロ気コミュ障バディポリスSFと化している。あんまりにも初々しくていじらしいハロルドとエチカの関係性が恋愛小説の1巻を想わせて胸キュンが止まらない。読みながら「チューして終わりでええやろもう!」と何回思ったことか! 謎のAIを追いドバイの研究都市、蝶の島へやってきたエチカとハロルド、孤絶した島で巻き起こるピンチが、嫌が応にも2人を近づける。でもお互いに思いを話せず離れたまんまの2人。胃の痛い相思相愛がストーリーをぐちゃぐちゃにしながら引張って行く1冊でした。 2023/05/29
なみ
17
技術開発のため、法に縛られない実験や試験運用が認められた人工島。 調査が主な目的だったが、エチカたちは事件に巻き込まれてしまう。 ハロルドの秘密を知ってしまったことで生じた気まずさを拭えないまま、捜査を進めることに。 間違っていることを理解したうえで、友人を守るための選択を決断したエチカの、覚悟と危うさにハラハラしました。 お互いのことを知りすぎてしまったが故に、積み重ねてきたものが崩れてしまう終章に胸が痛みます。 ここからどうなるんだ……。2022/12/20
しん∞SHI−N
16
【対話を避けて、心は読み解けず、閉ざされた冬が始まる】蝶の島に潜入する物語。相手を想うからこそ、敢えて離れなければならない場面がある。哀しい別離はお互いがそれぞれの道を歩み始めた証でもある。冬の時代に到来してしまったエチカとハロルドを余所に、人格を反映したアミクスを創り出す都市に潜入する事で、巨大な蠢く闇に触れる。複雑な計画を暴く中で、目まぐるしい異変が彼らを襲う。亀裂の走った関係の中、頑なに守り続けた秘密を知った時、もう後戻りは出来ない。蛹が蝶に変態する過程の様に。一度関係を徹底的に壊す必要があるのだ。2023/11/28
みどり
14
新しい段階に入った気がする、エチカとハロルドの関係。 今回はスティーブが良い感じに絡んでいる。 今後の二人の関係の変化が見逃せない。 2022/12/11