内容説明
社会理論としてのフェミニズムは,今まで何を成し遂げ,何が課題として残っているのか。グローバリゼーションと「第二の近代」という大きな社会変動に対応する方法とは。フレイザーの「第二波フェミニズム」批判への応答も必読。第一人者が描く次の一歩。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
16
企業が営利を追求するため国境を超えて活動する経済的な意味でのグローバリゼーションとフェミニズムの摩擦について考察した本である。主に「リーン・イン・フェミニズム」として現代フェミニズムをネオリベラリズムの補完的なイデオロギーだと批判したナンシー・フレイザーの論考に対する批判的なリアクションとなっている。承認の政治と称される第二波フェミニズムは、性別役割分業の差別性を指摘し、性の自己決定権を主張したところにその意義があるという。すなわち性差別を告発するという視座がフェミニズムの意義になるという。勉強になる。2023/12/23
ブルーツ・リー
3
「持続する」フェミニズムという事で、従来の、余りにも女性が活発に活動する事ばかりを求めて、それ以外の価値観を排除するような議論とは、少し論調が異なっていたように思われた。 フェミニズムに置いては、伝統的価値観や、「イエ」システムが攻撃されてしまうから、ただ昔からの生活を守っているというだけの人を無条件に敵に回してしまう。 場合によっては、ただ昔からのやり方でやっているだけという事で道徳的に下だと見るやり方は、敵を作る。 フェミニズムを推進するにしても、社会的に敵を作らない形での、持続的な活動が求められる。2023/07/06