内容説明
大阪人の悲喜こもごもを見つめながら、今日も流れる淀川。
陰惨な家庭を生き延びた姉妹、弟の野球を眺める少女、
婚活バーベキューにいそしむ男女、映画を撮る高校生、
自由を謳歌する個人投資家――。
誰もが割りきれない心を抱えて水辺に佇む。
瑞々しい人生のスケッチから今の大阪が浮かび上がる短編集。
解説・北上次郎
※この電子書籍は2019年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
昼寝ねこ
110
川には源流があって河口がある。しかし中流域に立つ人はそのどちらも見ることができない。この短編集はそんな風に人生の途中経過を切り取ったような物語だ。始まりもなければ終わりもない、淡々と目の前を淀川が流れていくイメージに近い。けっしてドラマチックではないが誰にでも起こり得るドラマだ。わだかまりを持つ姉妹。婚活に励むOL。映画を撮る高校生。ザリガニを釣る少年。登場人物はもしかしたら私だったかもしれない。淀川を河口から上流までひたすら歩く話があった。今更だけど淀川の上流は琵琶湖に繋がっているんだと思った。2024/12/19
佐島楓
67
たとえ同じ景色を見ていたとしても、それぞれ過去に受けた傷は違うし、あたりまえだけどいま考えていることもすべてばらばらだ。それを人の営みとしていとおしいと感じられるように、できるだけ許容できるようにと思えるようになれればいいな。そんな気持ちにさせてくれた短篇集だった。2022/12/13
サンタマリア
39
通勤電車で読むにはピッタリの本。短編集でさらっと読める。淀川を背景据えて苦悩しながら生きる人たちに焦点を当てた短編集。悩みがステレオタイプだったり、似たような話が多かったりと残念な点はそれなりにあった。けど、面白かったのでよしとしよう。2023/06/23
エドワード
34
大阪へ行く時、淀川は広いなあ、といつも思う。鴨川よりも、隅田川よりも広い。そんな淀川を舞台にした人間模様。コテコテの新喜劇かと思いきや、情感あふれる物語だった。この世でたった二人の姉妹の絆。父の再婚相手の男の子の野球を眺める女子の心象風景。子宝に恵まれない夫婦の心の綾。映画撮影の高校生たちの青春。愛犬を失った男と野犬の邂逅。独りで生きる投資家の強がりと弱み。世間の暗部もほのかに垣間見える。財布を拾ってくれたタクシー運転手のおばチャンの「飴ちゃんあげるから、元気出しや。」待ってました!の優しさが光る。2023/04/06
おいしゃん
30
人生なかなかままならず、という家庭や生活を、そっと淀川が寄り添う八編。 期待せず読み進めたが、淡々としたタッチが今の自分にはちょうど良かった。 ストーリーに、淀川らしさ、大阪らしさはそこまで強くない分、たとえば都内在住なら多摩川や荒川に置き換えても違和感なく、どんな人にもしっくりくる本だとも言えそうだ。2023/01/31
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