内容説明
生きづらさを抱えた人々への〈希望の灯火〉を描く感動作
いにしえより行き場を失った数多の人々を迎えてきた遍路宿「さぎのや」で、家出した少女・雛歩は自らの生き方と幸せを見つけていく。
解説・青木千恵
※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
50
自分の生き方を見つけるためには、大勢の支えが必要なのだと思いました。今一番必要な場所を描くことで、自我とは何かを見つけていく物語なのですね。心に刺さる感動作でした。2023/08/09
さち@毎日に感謝♪
24
天童さんの作品の中では意外なほっこりする作品。家出してきた雛歩を迎え入れてくれた「さぎのや」には色々な人がいて、それぞれ事情があってもその人達が皆温かく優しい人達でした。少しずつ自分を取り戻していく雛歩の成長が良かったです。こんな旅館があったら行ってみたいと思いました。2024/05/03
鶏豚
16
傷ついた人々を癒やす道後温泉の宿「さぎのや」を舞台に、雛歩の再生の物語。天童荒太氏の躓いた若者を応援する想いや、愛媛に対する望郷の念が満ちた一冊。惜しいのは登場人物が多過ぎで、各人のキャラクターが十分には立っていないこと。またベールに包まれた主人公の過去が作品半ばで明かされたため、後半が間延びした印象。雛歩が道後秋祭りの神輿の「鉢合わせ」を経て、強く歩み出す、型通りの結末だが、憂いが多い時に読むと優しい気持ちになれる一冊。(3.0/5点中)2023/12/24
チサエ
8
護り、護られ、受け継がれ、そして受け継いでいくもの。ヒトの持つ希望のカケラと、そのチカラ。見送ることのたいせつさ。天童さんらしいあたたかなお話しだった。2022/12/23
Ippei Ashida
4
愛媛の松山にある行き場を失った人を受け入れる遍路宿が舞台。天童荒太さんの作品は過去読んだもので、終始重い文体が多く、今回もそのつもりで読むと結構ギャップがあった。誰にでも帰る場所、さぎのやのようなところがあると良い。 ただ、天童さんの作品はもう少しダークな内容を求めてしまう。。。2024/01/22