内容説明
太平洋戦争さなかの昭和17年。日本統治下のパラオ・コロール島。小学校教員である宮口恒昭の長男・智也はある事件をきっかけに、パラオ人少年のシゲルと親友となった。だが、父の転勤で智也も隣島へ転校することに。二年が過ぎ偶然再会したふたりは喜び合うが、戦争の冷たく暗い影は、この長閑な南の島々にも迫っていた――。時は流れ、昭和63年末。パラオ共和国独立準備で訪日したシゲルは、天皇の容体悪化が報じられる中、戦後すぐ消息が途絶えた宮口家の人々を捜しはじめるのだが……。日本人とパラオ人の歴史と心の交流、戦争の悲惨さ、そして日本人の未来(エレアル)を問う、感動長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雅
50
戦時中のパラオで育まれた友情。決して消えることの無い友情。胸が熱くなる。2023/01/18
夏
20
太平洋戦争最中。日本統治下のパラオで暮らす宮口一家と、その家の練習生であるパラオ人のシゲルや、彼らが直面する戦争の物語。パラオが日本の統治下であったことはなんとなく知ってはいたものの、その実態は知らなかった。そして、パラオにまで戦禍が及んでいたことも。戦地に赴いた人々や、戦時下を生き延びなければならなかった子供達が、この悲惨な状況下で、明日をも知れぬ日々を耐え忍ばなければならなかったことを苦しく思う。だが日本とパラオの戦争は終わった。これからは、皆が明るいエレアル(明日)を生きられるように、祈りたい。2023/05/15
uniemo
19
昔統治していたのでパラオには日本語を話せる人がいたと聞いたことはあったのですがこんなにも激しい戦闘があったことは知りませんでした。2023/02/05
かすみ
10
戦時中のパラオの物語です。日本人と現地の子が、固い友情で結ばれます。人種を問わず、平和な世の中になって欲しいです。2022/12/07
Eddie
6
初めて行った海外が独立したばかりのパラオでした。 ダイビングで行ったのですが、ペリリューかどこかの島で戦車の残骸を見た記憶が残ってます。 原因や理由はどうあれ戦争はあってはならないということを改めてかみしめたいと思います。 ラストで少し涙が出てしまいました。2023/02/27