内容説明
『歎異抄』は親鸞の弟子・唯円が、親鸞の死後、師の教えとは異なる解釈が弟子たちの間から出てきたことを歎き、親鸞の教えを再確認するために記したもの。親鸞、そしてその師・法然の教えのエッセンスが詰まった重要な一書であるが、その内容を理解するのはひじょうに難しい。それは、世間の常識では理解しがたい宗教の論理で全編が貫かれているからだ。本書はその宗教の論理を理解し、教えが自分のものになるようにと、碩学が一般読者に向けて行った読書会の記録。懇切丁寧な説明はもちろんのこと、参加者からの質問や感想が、浄土仏教の理解を大いに助けてくれる。
目次
はじめに/第一講 序文、第一章/第二講 第一章、第二章/第三講 第二章、第三章/第四講 第三章、第四章/第五講 第五章/第六講 第六章/第七講 第七章、第八章/第八講 第九章/第九講 第十章、第十一章/第十講 第十二章/第十一講 第十三章/第十二講 第十四章/第十三講 第十四章、第十五章/第十四講 第十六章/第十五講 第十七章、第十八章/第十六講 結文/第十七講 結文、付録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
19
骨太の『歎異抄』解説本。入門書とは言い難いです。「”報恩の念仏”は親鸞が説いた念仏を一段貶めている」など本願寺教団から一歩距離を置いた、阿満氏なりの解説がなされます。まあ、すべて阿満氏の解説が正統だとは思わないけど…。以前、『歎異抄』の枢要は第1条であると説法する真宗僧を見ましたが、本書も同様の主張をします。有名な「善人なほもって~」の3条や「弥陀五劫思惟の願を~」の9条もとても重要ですが、第1条を信知してこそ念仏者なのであると。同感です。また、二河白道の話が出てきますが、新たな気付きを得られました。2022/08/08
とむぐりーん
3
朝日新聞の2023、3、2付けの特集記事「明日へのレッスン」で歎異抄の分かり易い解説が出ており、この本に出会った。長い時間がかかったが、読了してみて、歎異抄の概要が朧げながら分かって来たのは、自分にとって大きな収穫だった。「宿業の身」であるとの自覚と、自我中心の大海の中に漂っている不安定な自己の事実があるが、その不安ゆえに、阿弥陀仏の誓願に頼り、只々、念仏を唱える。他の本も読んで、探究を続けたいと思いました。2023/04/30
聲
2
すごく深く、わかりやすく(著者の主張が)、入り込みやすく、阿満さんが語っている講義録。みるみる『歎異抄』に潜り込める。自分にとっては一番大事な本。2022/08/27
滑稽ウツボ
1
歎異抄の入門本だったが、分かったような分からないような気持ちだ。大乗仏教はすべての衆生を救うが、ある程度この世界に絶望していないと心の底から信じることができない歯がゆさを感じた。2024/03/19