内容説明
その夜、魔物が手に入れたのは、彼だけのママだった。
海沿いの王国ガーダルシア。トトと呼ばれるその少女は、確かな魔力を持つ魔術師の血筋サルバドール家に生まれた。しかし、魔術の才に恵まれず、落ちこぼれと蔑まれていた。そんなある日、神殿の書庫の奥に迷い込んだ彼女は、数百年前に封印されたという〈人喰い〉の魔物と出会い――。
「ねぇ、ママって、なに?」これは、人喰いの魔物と、彼のママになろうとした少女の、切なくも愛おしい絆の物語。
全編に亘り修正を加え、王国の末姫の回想を描いた掌編「黒い蝶々の姫君」を初収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nyah
45
『ミミズクと夜の王』に続く、【人喰い三部作】第二部。/ガーダルシア王国で魔術師の名家サルバドール家に生まれたトトは、魔術師の中で才能開かず落ちこぼれていた。ある日孤独な彼女は神殿の書庫奥に入り込み、封印されていた〈人喰い〉の魔物と出会い、使役にした。‥彼女はその魔物のママになろうとしただけだったのだが‥。彼女は魔物に耳を取られた為に逆に聞いた言葉を直ぐに使える能力を身につける。魔物ホーイチを息子として愛しながら外交官として生きていた。そこで兄達に命を狙われるディーラン姫、戦士ゼクンと出会う。泣ける🥲2023/11/10
優希
42
自分だけのママ。落ちこぼれの少女が人喰いの魔物のママになる。それはたったひとりのママでした。人喰いの魔物と彼のママになろうとする絆が愛おしかったです。2023/11/02
オセロ
40
魔術師として高名なサルバドール家に生まれたものの才能に恵まれなかったトトが人喰いの魔物の母親になり、少年と下町で出会い本当の母親になる物語。悪くはなかったけど、前の二冊に比べたら劣るかな。2024/06/04
よっち
37
ガーダルシア王国で魔術師の血筋サルバドール家に生まれながら、魔術の才に恵まれなかった少女トト。数百年前に封印された人喰いの魔物と出会うファンタジー。トトが母として歪な契約を結んだ人喰いの魔物ホーイチ。外交官を目指すトトの運命を変えた王女ティーランの印象的な出会い。彼女が外交官として人として成長してゆく中でも、ずっと変わらず共にあったホーイチと彼女の揺るぎない関係があって、だからこそその幸せを願う決断が切なかったです…。ティーランの憂鬱な人生を変えた出会い、そして兄妹の関係と繋がってゆく話も良かったですね。2023/01/02
PEN-F
36
いい歳したおっさんになるとメディアワークス文庫って買うのがちょっと恥ずかしいけど、たまに傑作が紛れてるから恥ずかしくても頑張って買ってしまう。2022/12/12