内容説明
アンデルセン=鴎外が描き出す成長物語の舞台へ。――いったい私は「即興詩人」を携え、ローマへ続く道をたどった何人目の日本人だったのだろうか。
●「即興詩人」は波乱万丈の物語で、偶然の出会いと附合があまりにも多い。とはいえ、私たちにもローマを起点に、イタリア全土を経めぐり、あまりにも多くの偶然に出くわしたのだった。昼下がりの露舗で見つけたバルベリーニ広場の銅版画、エジェリアの洞を探しあぐねたときに草むらから突然現れたおじいさん、リペッタ通りのボルゲーゼ宮にばったり突き当たりボルゲーゼ邸との違いに気づいたこと、キケロの墓の発見など、再現しようと思ってもできない新鮮な驚きに満ちた旅であった。――(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dolce-vita
1
森鴎外訳の「即興詩人」を携えアントニオの足跡を辿る。ただその街を訪れるだけでなくまさにその建物、その通り、そのスポットを探し当てる。もちろんその場所自体もステキだし。森さんの感覚も、時折差し挟まれる感想もステキ。楽しい一冊。2017/02/25
星落秋風五丈原
1
本は大好きだが机上の読書だけでは足りず、本に書いてあることをたしかめるためにはどこへでも出かけて行き、見たものを自分の感覚にしっかり刻みつける。歩いて、見て、感じて、考える。そうした歩行の達人としての著者の本領が発揮された一冊。2005/09/20
アンコ椿
1
イタリアに行きたしと思えども、イタリアはあまりに遠し…。同時並行で鴎外訳の即興詩人を読んでいたのだが、鴎外の格調高い文語体を味わうには、小生の体調が悪く、こちらは半分ほどで挫折。再度体調の良いときに再挑戦したい。2013/10/07