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占領都市―TOKYO YEAR ZERO〈2〉

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  • サイズ B6判/ページ数 383p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163755700
  • NDC分類 933
  • Cコード C0093

出版社内容情報

1948年冬の大量毒殺事件を生んだ占領下東京の黒い霧を、ノワールの旗手が鬼気迫る筆で暴きだす。狂気渦巻く漆黒の現代文学、誕生。

内容説明

1948年1月26日。雪の残る寒い午後。帝国銀行椎名町支店に白衣の男が現われた。男が言葉巧みに行員たちに飲ませたのは猛毒の青酸化合物。12人が死亡、四人が生き残り、銀行からは小切手と現金が消えた。悪名高い“帝銀事件”である。苦悶する犠牲者たちのうめき、犯人の残した唯一の物証を追う刑事のあえぎ、生き残った若い娘の苦悩、毒殺犯と旧陸軍のつながりを知った刑事の絶望、禁じられた研究を行なっていた陸軍七三一部隊の深層を暴こうとするアメリカとソヴィエトそれぞれの調査官を見舞う恐怖、大陸で培養した忌まわしい記憶と狂気を抱えた殺人者。史上最悪の大量殺人事件をめぐる12の語りと12の物語―暗黒小説の鬼才が芥川龍之介の「薮の中」にオマージュを捧げ、己の文学的記憶を総動員して紡ぎ出す、毒と陰謀の黒いタペストリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

151
2013年このミス海外第2位。 世に言う「帝銀事件」を扱った作品である。 1948年に起こったこの事件を 十二人の視点で、文体で描く。 占領された都市 東京で 起こったおぞましい 事件を 呪詛を突きつけるような語り口で 描写する。元陸軍、新聞記者、GHQなどが 絡んだこの事件、真相は藪の中だが、 不気味さだけは 伝わる…そんな印象の作品だった。2018/12/04

at-sushi@ナートゥをご存知か?

73
未だ真相は謎に包まれた「帝銀事件」を、東京在住の英国人作家が芥川の「藪の中」をモチーフとして描いたという、こじれきった作品。何年か前の「このミス」海外部門にランクインしてたので手にしてみたものの、詩のようなモノローグの繰り返しや、メモ書きだけで綴られた章や見え消しの文など実験的な表現が多く、読みにくいったらありゃしない。犯人像についてミステリらしい解釈が加えられてはいるものの、どっちかというと純文学に近い。三部作の第二部とのことだけど、もうお腹いっぱいです(涙)2018/07/21

シ也

40
事件の被害者。生存者。事件を追う刑事、記者、逮捕された平沢、そして犯人... と、12の語り手によって描かれる帝銀事件。メモや手紙、新聞や報告書など、文体がそれぞれ違っていて面白かった。前作の小平事件の時より復興はしているが、東京の街が孕んでいる闇は大きくなっているように思えた。完結編の下山事件編が待ち遠しい。余談ながら、出版社のサイトでエピローグとプロローグに登場する作家が坂口安吾だと知って驚き2016/01/27

3939タスタク

20
闇に浮かびあがる12本の蝋燭と、それと同じだけの異なる12の物語。12本の蝋燭の炎がすべて消えた時、すべての真実が姿を現す…。 あくまでも推測ではあるが、731部隊とGHQの間で交わされた何らかの取引が、帝銀事件という闇を作りだしてしまったのではないだろうか。平沢死刑囚と16人の被害者達は、GHQの暗躍によって運命を弄ばれたような気がする。2013/05/25

ふみ

18
731部隊の研究結果ってそんなに重要なものだったの?残酷なだけじゃなくて。と、本筋から些かずれた感想を抱きつつ。日本文化に影響されまくった作品。人々の狂いっぷりが生々しく日本って占領されてたんだ、と改めて思う。天皇への言及も情け容赦なくっていい。2021/12/22

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