ペストの夜 上

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ペストの夜 上

  • 著者名:オルハンパムク【著】/宮下遼【訳】
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 早川書房(2022/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 810pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784152101853

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内容説明

オスマン帝国末期の1901年。東地中海に浮かぶミンゲル島では、ペスト流行の噂が囁かれていた。ペスト禍を抑え込むため皇帝アブデュルハミト二世の命で派遣された疫学者は、何者かの手によって惨殺される。代わりに送り込まれたヌーリー医師と、その妻、アブデュルハミト二世の姪にあたるパーキーゼ姫は、ペスト撲滅のために島に降り立つ。だが二人は秘密裡に、疫学者殺害の謎を解き明かす使命も負っていた――。 トルコ初のノーベル文学賞作家、オルハン・パムクが、架空の島を舞台に人間と疫病との苛烈な闘いを克明に描く傑作歴史長篇、ついに開幕!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

190
オルハン・パムクは、新作中心に読んでいる作家です。20世紀初頭、衰退した末期のオスマン帝国をペストが襲う。但し、今回の新型コロナウィルスのパンデミックと異なり、ペスト防疫の知識があり、何とか対応出来た状況の様です。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015269/2023/01/07

パトラッシュ

119
東地中海の小島でペスト発生を調べに来たオスマン帝国高官が惨殺される冒頭から、カミュ作品と比べ濃厚な政治臭が漂ってくる。ペスト撲滅と事件捜査を命じられた医師は廃位された前皇帝の娘婿で、現皇帝の恐怖統治と科学不信の民衆の板挟みとなる。医学的に正しい感染防止策はイスラーム教団との対立を招き、島内の宗教対立と中央の顔色を窺う総督の優柔不断もあって追い詰められた人びとが暴走を始める様子は息の詰まるほど生々しい。衰微する帝国を狙う列強の圧力も描かれ、疫病による惨禍は後景に退いて完全な政治小説へと変貌していく。(続く)2022/12/15

どんぐり

92
オスマン帝国末期の歴史劇。イスラーム教徒と非イスラーム教徒が半々住むミンゲル島(架空の島)でペストが蔓延する。治療法が確立していないこの時代に、ペスト菌が入り込んでしまったらどうなるのか、現代のコロナ禍を想起させるような小説だ。集団主義と同調圧力の強い日本のお話ではない。検疫推進派と反対派の対立、多種多様な島民と宗派が乱立するなかで、帝国から派遣された疫学者が殺され、部下の医師も毒殺されてしまう。ペストの死者が増えるとともに海上封鎖が敷かれ、事件が解決されないまま政治的な権謀術数が渦巻く下巻へ。→2023/01/28

NAO

67
オスマントルコ帝国末期の1901年、ペスト禍に見舞われた帝国内のミンゲル島で起こった皇帝側近の衛生総監の惨殺事件と、その後の革命を描いた歴史小説。流行病に対する考え方や対応は、いつの時代も変わらない。大層なことが起こっているはずがないと考えを頑強に変えようとしなかったり、何か恐ろしいことが起きているらしいことは感じてはいても自分だけは大丈夫だと楽観視したり。宗教も絡んで事態は一向に改善しない中、ペストへの対応のまずさを理由に総督が罷免され、新総督がミンゲル島に来たことから、ミンゲル島の歴史が激変する。2023/04/08

崩紫サロメ

30
1901年オスマン帝国。中国からインドに広がったペストがミンゲル島で感染が確認される。更には衛生総監のボンコウスキーが何ものかによって殺害される……。ミンゲル島はイスラーム教徒とギリシア正教徒が半々ずつ暮らす架空の島。皇帝は住民の健康ではなく帝国の面目を最優先した行動を取る。この島で起こることが何を示唆するのか、楽しみなところ。また、日本語訳に先立ち、本書の中国語訳が2022年10月に刊行された。厳格なゼロコロナ政策下にあって隔離されていた中国の読者はどのように読んだのだろう。2022/12/09

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