内容説明
時を超えて彷徨う二人の男の物語。英国SF協会賞受賞作 戦記ノンフィクションを専門に扱う古書ディーラーが、即売会で手にした一冊の詩集『時ありて』。彼は詩集に挟まれた手紙に書かれた事実を追ううちに、第二次大戦の戦火を生きた二人の男をめぐる迷宮を彷徨うことになる。英国SF界のレジェンドによる傑作時間SF
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
56
古書ディーラーが出逢った本に挟まれていた往復書簡。そこには世界を渡り歩いてきた男二人の愛の交歓が綴られていた。だが彼らの正体をインターネットやSNSなどで探るうちに彼らが時空を渡り歩いている可能性が浮上し・・・。未来人として時空を渡り歩き、その中で運命の人と邂逅する。時空を渡り歩く事への始まりでもあり、他世界の可能性と時間としての亡霊と言う名の面影を俯瞰し、結果として自分と愛する人の存在は確認できるという歓びに満ちた「シングル・ストリート」が瑞々しい。そして未来は過去に、過去は未来へと絶えず、変わりゆく。2023/03/19
キムチ27
53
ボーイミーツボーイ★人には好みがあり、それぞれの立ち位置で読んだらいいはず。もともと苦手なSFジャンル。裏表紙の解説で興味を持ったのだか、世界に入れず飛翔できないまま落下。2023/03/03
信兵衛
22
読み終えた後、時というものに対する余韻が深く残りました。2022/12/17
スイ
17
この短さで、この読後感! 果てしないものの前に放り出された気分。 スティングのあの曲を絡めた一文は笑ってしまった。2023/06/30
本の蟲
14
古書ディーラーのエメットが、閉店した古書店で発見した詩集『時ありて』。ページに挟まれていた手紙に興味をひかれたエメットは、二次大戦の戦場でやりとりを交わす二人、ベンとトムについて調べ始める。彼らの所属した部隊「消えた連隊」。違う時代、違う戦場にも関わらず歳を取っていない彼らの写真。浮かび上がる不可解な事実に、エメットは調査にのめり込んでいく。大方の予想通りTTもの。好みの題材だが、詩的、幻想的に描かれた物語で、少々読みづらさも感じた。最後に種あかしがあるので、再読すれば印象も変わるかも…2024/03/19