内容説明
珈琲、安保、インターネット、全ての歴史はつながっている。激動の時代にもそこに至る背景がある。時空を越え、世界規模の関係性を「編集」から読み解く、白熱の近現代講義。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
marco
32
本書を読んで、同著者のほぼ同時期に刊行された『インタースコア』のタイトルの意味がわかりかけてきた。本書で扱われるのはナポレオンやアヘン戦争、そして、日本の開国など、歴史の教科書で見知った事柄ばかり。おそらく学生時代の自分に、歴史的事象と現在を橋架する力がなかったために、歴史を単なる暗記科目と捉えてしまっていた。タテ(時間と因果)とヨコ(同時代性)を織り合わせて見事な布を縫い上げている。2016/04/17
ひかりパパ
9
歴史は編集されたもの。地域と時代を見る際同質性と異質性を代わる代わる見ることが大切と説く。インタースコアによる編集の手法と呼ぶ。歴史を立体的に見てみよう。2017/01/21
kyoko
8
司法制度改革、労働者派遣法の改正(人材派遣業の規制緩和)そして小泉郵政民営化改革はアメリカが日本に突きつけた構造改革の一環だったとは…自分の無知を呪った。もうひとつ納得したのは、江戸時代の日本が安泰だったのは、朝鮮民族が非侵略的だったからだということ。その朝鮮半島を侵略することから日本の近代化が始まったということを、された側はけっして忘れないだろう…。欧米列強も過ちは多々してきたが、日本も人のことは言えないと歴史を学ぶたびに思う。2016/12/11
ykoro
8
「インタースコア」の考え方は、物事を学び考えていく上で、素晴らしい。地政学の考え方、日米構造協議と裁判員制度の導入経緯なども頷けた。歴史を「同質」「異質」に分ける考え方、「国性爺合戦」の話も面白い。参考書籍も非常に多く紹介されており、勉強するには、とてもわかりやすい。2016/07/24
Hatann
6
世界と日本の編集力という方法について素描する。特に「国」の要素に焦点をあてて、歴史、事件、現象、文化などを様々に比較投影して、同質性と異質性などふたつの傾向を見出しながら、歴史的現在を炙り出す作業である。上巻に相当する「東巻」にては、ヨーロッパにおける近代国家の登場から帝国主義的な植民地競争を経て日本による朝鮮併合までをインタースコアしている。方法を紹介するものであり、全ての事件を網羅的に本書で紹介するものではないが、単線的な事象が複数の事象とのインタースコアを通じてn次元的な存在感を醸す過程が楽しい。2019/11/09