内容説明
大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師でもある夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子……。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題……分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー作で、イタリアの著名なジャーナリスト(イタリアの表現の自由・報道の自由のシンボル的存在で、『死都ゴモラ』や『コカイン ゼロゼロゼロ』といったノンフィクションで日本でも知られる)ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ノンフィクションのシリーズ「弾薬庫(ムニツィオーニ)」叢書の第一弾として刊行された作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
25
冒頭は、ブルーナが子供に旧約聖書のヨナ書をわかりやすく説明している場面から始まる。ヨナ書とは文字通りヨナが主人公の物語だ。ヨナは預言者である。主はヨナに,ニネベの人々に警告するよう命じた。くい改めなければ,かれらの町が滅ぼされると告げよというのだ。しかしニネヴェの町はそもそもイスラエルの民と敵対しており、敵の所に行き、よくない予言を告げるなんてとんでもないとヨナは逃げ出す。すると乗った船が難破し、何度籤を引いてもヨナが選ばれてしまう。ヨナを鯨がぱくりと飲み込み、ようやくヨナはニネヴェの町に向かう。 2023/01/25
mntmt
15
アメリカでの差別は現在進行形。白人の富裕層はいまだに進化論を拒否していたりするのには驚いた。2023/01/31
中海
1
喪女リカ喪女ルカというサイトを見ながら昼飯を食べている。内容は、近所トラブル、嫁姑問題などのまとめサイトである。「あなたの実家行くと自分が気にし過ぎなんだと思うけど、お母様がストレスを感じてらっしゃるようなのよね」とかいうレベルでなく、嫁の寿司のみが並で、他の旦那家族は特上の寿司、とかあからさまにいさぎよく笑いまで振りかぶっている。そのレベル位に、嫁がやれ生まれが、子供がホモっぽい、全部嫁が悪いと責められ、嫁(先生)はイスラム系の若者(学生)に走ってしまう、という、そういう内容。2023/06/12
Red-sky
0
アメリカ社会の常に何かと何かが対立している様が誰かの生活を狭めて苦しめているのを目の当たりにした感じがする。性別、世代間、移民、民族、宗教、人種、様々なものが対立しやすい社会は憎しみの連鎖しか生まないから強く見えるものにすがりたくなるのかもしれない。最初は主人公ブルーナの義両親が強烈すぎてわざわざそんないばらの道の結婚を選ばなくても…と思ってしまったが、欧米では常にファイティングポーズをとっているのが当たり前でそれが大変なことだと気づかないのか、それとも自分だったら変えられると思うのか考え方の違い?2025/06/06
ねここん
0
個人が確立したアメリカがこんなにも人種差別により排他的だとは知らなかった。民族、宗教など歴史に基づいた思想支配は根強い。人としてどう生きるかはひとりひとりが考え続けなければならないのだろう。2024/03/03
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