内容説明
ロシアのプーチンと一人で闘うウクライナの大統領ゼレンスキーとは何者なのか? ロシア語を話し、コメディアンとしても鳴らした注目の人物の謎と今後の動きを、克明に明かす初めての本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
20
2022年11月刊行。ウクライナのゼレンスキー大統領について知るには、目下のところ最良の書だろう。原著は、2人の仏人ジャーナリストによる評伝で、ロシアの侵攻開始から約3か月後に刊行された。1人はジョージアが拠点、もう1人はウクライナが拠点で、旧ソ連圏の取材経験が豊富。ゼレンスキーを描く筆致は客観的だ。ゼレンスキー本人が「ユダヤ系」ルーツについてどう言及したかも紹介している。両親は信仰を持っていなかったと語った。曽祖父と3人の大叔父はナチスのアインザッツグルッペンに撃たれて死んだと。 2022/11/16
hitotak
7
ウクライナ侵攻がはじまり、(日本人にとっては)突然現れて世界の主役級に躍り出たゼレンスキー大統領の生い立ちやこれまでのキャリアがわかりやすく書かれた一冊。コミカルな俳優としてロシアや東欧でも既に有名であったが政治家としての実力などあるはずもないゼレンスキーが侮られていたのは間違いないが、予想に反し戦時の指導者として力強く国民を鼓舞しまとめあげる姿には、俳優としての演技力やプロデュース力が遺憾なく発揮されているようだ。緊迫した国内情勢やオリガルヒの暗躍、プーチンの思惑も時系列的に書かれていてよく理解できた。2023/02/26
バルジ
6
コンパクトながら「稀代の指導者」ゼレンスキーの足跡を辿れる良書。生い立ちから俳優・プロデューサーとしてのキャリア、政治家として成長していく一人の国家指導者の姿が生々しく描かれる。元々ロシア語を主言語としロシアでも芸能キャリアを築き上げた人物が対ロシア戦争を率いる国家指導者というのは何とも皮肉な巡り合わせだが、ゼレンスキーは持ち前の自己プロデュース力で「ウクライナ人」となり人々を鼓舞する。大統領就任当初は辿々しい政治家としての振る舞いも実地で磨かれ戦時に花開いた感がある。2023/02/19
たけふじ
2
ゼレンスキーと彼を取り巻く世間の、まさに「現在」に至るまでの動きをダイナミックに描く。ウクライナという国を食い物にしようとするオリガルヒや親ロ派議員はゼレンスキー政権下であってもうごめく。コロモイスキーをパージしたとしても、オリガルヒを根絶できたといえないのが「汚職国家」と渾名されても潔白を主張できない難しいところだろう。2023/02/13
AKI
1
「上からの思想を押しつけるよりも、時代の空気を読みとり、すぐれた考えを積極的に集め、業務を各分野の専門家に任せる。」 「歴史は人間が望むことの根拠となり、厳密には何の教訓も与えない。歴史には全ての前例が含まれているので、その前例を引き合いに出せばどんなことも許される。」2023/02/27