魚は数をかぞえられるか? 生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化

個数:1
紙書籍版価格
¥2,640
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

魚は数をかぞえられるか? 生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化

  • ISBN:9784065279816

ファイル: /

内容説明

すべての生きものは数をかぞえている。チンパンジーや犬だけじゃない。鳥も魚もネズミもライオンもイルカも数をかぞえ、アリもハチも計算し、セミは素数の周期を把握していた!
「人間特有のもの」と一般に考えられている数的能力は、進化の過程で発達してきた。つまり言語をもたない生きものも、食べて繁殖して生存するために、数を認識し、かぞえている。いや、計算すらしているのだ――この大胆な仮説を、認知神経心理学の第一人者にして数的能力の遺伝について研究を続けてきたロンドン大学名誉教授が検証。数学を中心に神経科学、社会人類学、進化生物学と、学問分野を縦横につなげて、「生きものは数をかぞえているのか」というユニークなテーマに迫る。
本書では、京都大学霊長学研究所の計算できるチンパンジー・アイや、後者関数を理解し数学の自習までした伝説のヨウム・アレックスといった”天才動物”にとどまらず、さまざまな生きものをとりあげる。

・「サルと大学生の基礎数学」
・ヒヒは脳で計算し、足で投票する
・敵の数をかぞえて戦略を立てるライオン
・数を多めに見積もるネズミ
・クジラとイルカの高度な数的能力
・猫の脳で観測された「計数」細胞
・「名前のない数」を考えていたカラス
・ハトの記憶容量はグーグルマップを超える?
・さえずりで数的能力を鍛える
・鳥のちっぽけな脳内はニューロンでいっぱい
・5回鳴いて婚活に勝つオスガエル
・オタマジャクシの数的能力は魚に劣る?
・生後1日のグッピーも大きな群れを選ぶ
・数の変化で魚の脳も変化する
・7時間訓練すればアリは「数」を学べる?
・クモは獲物の数をかぞえる
・イカの数の感覚は感覚は人間の子どもと同程度?
・シャコは経路積分で巣穴に隠れる
・カタツムリはチンパンジー並みに数に敏感

哺乳類から無脊椎動物まで、動物が「数」をどのように認識しているか、数を使って何をしているかは、私たち人間の進化プロセスをたどることであり、「人間は数をどうとらえ、どうかぞえているか」を発見する旅でもある。
昨今、「生涯年収は計算能力で決まる?」などと問われているが、それも当然かもしれない。ガリレオは「宇宙は数字で書かれている」と言い、ピタゴラスは「万物は数でできている」と述べ、ノーベル物理学賞受賞者のユージン・ウィグナーは「数学は世界を説明する道具だ」と語った。人間を含めたあらゆる生きものの命の目的、つまり「セックスと食物の獲得と生存」に不可欠なサバイバルツールが計数なのだから、数的能力が人生に影響を及ぼしても不思議はない。
さあ、あなたはどうかぞえているか? 知的好奇心をかきたてる話題作。

目次

第1章 数とは宇宙の言語である
第2章 人間は数をかぞえられるか?
第3章 骨と石と最古の数詞
第4章 サルは計算できるのか?―類人猿とサル
第5章 ライオンとクジラのかぞえ方は?―哺乳類
第6章 鳥は動物界の計算チャンピオン―鳥類
第7章 カエルの婚活は数が決め手―両生類と爬虫類
第8章 デキる魚は最多数の群れに加わる―魚類
第9章 ゼロを知るハチ・足し算するアリ―無脊椎動物
第10章 あらゆる生きものは数をかぞえる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まえぞう

18
魚だけでなく霊長類から昆虫のような無脊椎動物まで、数を認識しているかに様々な実験を通して迫ります。認識したひとつひとつを積み上げていくアキュミュレイターがどの種にも備わっているのはなんとなく想像できますが、何を積み上げていくのかをチェックするセレクターの存在が今一イメージできません。あと、様々な実験に何らかの予期しないバイアスが紛れ込んでいないかどうかはどうチェックするのでしょうかね?2023/02/01

月をみるもの

17
アナログな量での認識や、4くらいまでのデジタルな数の認識は生きるために必須の情報処理として、かなり原始的な生物も行っている。数学が反映しているのは世界の構造なのか、それとも脳の構造なのか。2023/02/01

美東

14
各章の頁数を数えてみる。第1章 数とは宇宙の言語である34頁、第2章 人間は数をかぞえられるか?54頁、第3章 骨と石と最古の数詞39頁、第4章 サルは計算できるのか?―類人猿とサル41頁、第5章 ライオンとクジラのかぞえ方は?―哺乳類19頁、第6章 鳥は動物界の計算チャンピオン―鳥類29頁、第7章 カエルの婚活は数が決め手―両生類と爬虫類17頁、第8章 デキる魚は最多数の群れに加わる―魚類23頁、第9章 ゼロを知るハチ・足し算するアリ―無脊椎動物46頁、第10章 あらゆる生きものは数をかぞえる40頁2023/04/27

魚京童!

13
数はイメージなのだろうか。指の個数なのだろうか。それとも概念的な何かなのだろうか。積み上げてきたから、数を数えられるし、頭の中に指があるから、いくらでも数えられる。それを割ったりするのが苦手なのはイメージの世界が指だからだろうか。四角だったり、色だったり、認識の仕方はいろいろあるのに、私は指でしか数えられない。数とはなんだろうか。大きさとは異なるのだろうか。私は世界をどう鰊記しているのだろうか。世界は42でしかないのに、こんなところで何をしているのだろうか。2024/05/18

bapaksejahtera

13
4以上の数がない文化を下級だと認識するのは誤解に過ぎない。6千と6万の差が意味のない社会にとっては、4という数は「マリの首都はバマコ」と等しい些細な意味記憶に過ぎない。豪州原住民の子供は、知能検査次第では都市の子供を上回ったという話題から本書は始まり、数を数えるという算数能力の色々を、ヒトから進化を遡り昆虫迄、多彩な実験結果を以て説明する。数えは、進化の初期から脳内ニューロンに存在する累算システムによる。昆虫や鳥類等は、類人猿に近い能力を示す。鳥類が3次元座標を用い帰巣するシステム等も紹介され頗る興味深い2024/05/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20366666
  • ご注意事項