新しい階級闘争―大都市エリートから民主主義を守る

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新しい階級闘争―大都市エリートから民主主義を守る

  • ISBN:9784492444719

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内容説明

フィナンシャル・タイムズ、タイムズなど欧米メディアで絶賛!イブニング・スタンダード紙のブックオブザイヤー受賞。「資本家」対「労働者」から「大都市エリート」対「土着の国民」へ。左右ではなく「上下」対立の時代を読み解くバイブル!ポピュリズムは病原ではなく症状だ。民主主義を滅ぼす病原は新自由主義にある
【欧米メディア&識者が絶賛】
◎これまでで最も優れたポピュリズム分析の書(「イブニング・スタンダード」紙)
◎力作だ。欧米の政治が簡潔ながらも繊細に分析されている。ポピュリズムは、大学を出ていない労働者たちから経済的交渉力、政治的影響力、文化的威厳を奪ってきたテクノクラート新自由主義に対する反動だとリンドは主張する(デイヴィッド・グッドハート、『The Road to Somewhere』著者)
【中野剛志氏】
ポピュリズムの原因は、新自由主義的な政策によって労働者階級を抑圧し、政治・経済・文化のいずれの領域においても労働者階級を疎外してきたエスタブリッシュメントの側にある。ポピュリズムは確かに健全ではないが、それは、エスタブリッシュメントの新自由主義的な支配という疾患に現れた症状に過ぎないのである。私は、リンドの思想に全面的に賛成である(巻頭解説より)
【施光恒氏】
本書は、戦後実現した「民主的多元主義」の安定した政治が、1970年代に始まった新自由主義に基づく「上からの革命」の影響を受けた結果、機能不全に陥り、米国の国民統合が現在までにいかに脅かされ、分断が進んだか、またどのように分断の解消を図っていくべきかについて考察したものである。民主的多元主義の再生を可能ならしめるために、現行の新自由主義に基づくグローバル化推進路線の転換が必要だと本書は論じる。新自由主義的な改革に明け暮れてきた欧米諸国や日本に新しい視点を与え、自由民主主義の意味や条件を考えさせる貴重な一冊だ(監訳者解説より)

目次

【巻頭解説】「啓発されたリベラル・ナショナリズム」という思想(中野剛志)

ペーパーバック版への序文

イントロダクション 反乱か、革命か

第1章 新しい階級闘争
第2章 「ハブ」と「ハートランド」:新しい階級闘争の戦場
第3章 世界大戦とニューディール
第4章 上からのネオリベラル革命
第5章 ポピュリスト――下からの反革命
第6章  ロシアの操り人形とナチス:ポピュリスト有権者を悪者扱いする管理者エリートの手口
第7章  労働者のいない楽園:姑息な新自由主義的改革
第8章  拮抗力:新しい民主的多元主義に向けて
第9章  民主的多元主義にとって安全な世界を

エピローグ 「新しい階級闘争」を終わらせる方法

【監訳者解説】新自由主義的改革に反省を迫り、民主的多元主義の再生を促す書(施光恒)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

108
欧米で猛威を振るうポピュリズムを「地方を動かない低学歴の小規模農工商業労働者が、学歴と収入の高い大都市エリート層に対して起こした反乱」と捉える。グローバル化で隠されてきた階級格差を知った大衆が、権力と配当をよこせと要求したのだ。そこに大量移民とSNSによる陰謀論拡大が重なり、レトリックの巧みな権威主義的煽動政治家に格好の舞台を提供したわけだ。しかし著者は官僚制に反発するポピュリズム政治は失敗すると断言し、大衆の利益を拡大する民主主義の再構築を説く。方向的には正しいが、現状の対立を解消する具体策はあるのか。2023/04/20

Sam

48
必ずしも読み易い本ではないが著者の主張の骨子と全体構成を意識して読めばすっと読める。というか、とても興味深い論考だと思う。著者は現代の欧米の社会はもはや「右対左」ではなく「上対下」という階級闘争として見るべきだという。つまり70年代以降の欧米社会は上=大都市のエリートによる「テクノクラート新自由主義」に占拠されている一方、それに対しては下=民衆の怒りに基づくポピュリズムが跋扈しているとする。以前の「民主的多元主義」に戻るべきという主張に説得力はあるが、それをどう実現すべきかという点がやや弱いように思った。2023/04/04

よしたけ

46
著者は欧米諸国で新階級闘争が生じていると考察。1970年代からエリート主導革命が生じ、グローバル化推進策が普及。 ここから利益を得るエリート層と殆ど恩恵無い庶民層の対立が新階級闘争で、経済、政治、文化に及ぶ。不公正な社会に庶民が反発しポピュリスト反革命が発生、トランプ大統領誕生や英国EU離脱。エリート層は真剣に向き合わず不適合者による非合理な運動だとし、 再分配・反独占政策といった対症療法をとる。著者は、庶民層見解を代弁する拮抗力が必要と論じ、労働組合等の中間団体再生と新民主的多元主義の創出を訴える。2023/09/29

msykst

17
20世紀半ばまで成立していた「民主的多元主義」においては、主に組合を通じた労働者の組織化と交渉が機能していた。しかし現在の「テクノクラート新自由主義」では、こうした労働者の拮抗力は完全に解体させられた。現在の体制での上流階級は高学歴エリートからなる管理者(経営者)や専門技術者たちであり、彼らはグローバルな生産構造の中で労働力のアービトラージを進める。それは「土着の国民」と移民との間に対立を生むのであり、そもそも弱体化させられていた労働運動はますます機能せず、排斥運動に典型的なポピュリズムにとって代られる。2024/10/21

無重力蜜柑

17
面白い。ポピュリズム、経済低迷、格差の拡大……こうした現代の西側諸国が直面している社会的混乱を「新しい階級闘争」として捉えなおし、症状の診断と治療法の提案を行なう本。最初に言っておくと、本書における西側諸国とは米国と西欧諸国のことであり、日本は含まれない。無論、訳者解説でも言われている通り日本の現状を捉える上でも参考にはなる。ただし日本と欧米ではやはり相当状況が違うという点には注意すべき。自分も最初は日本の図式に当てはめて考えようとしたため混乱したが、読んでいるうちに欧米の図式に慣れてきて楽しく読めた。2024/06/20

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