ちくま学芸文庫<br> 王朝奇談集

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ちくま学芸文庫
王朝奇談集

  • 著者名:須永朝彦【著者】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2022/11発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480511331

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内容説明

海岸に流れ着いた巨人、蹴鞠に精進した人のもとに現れた鞠の精、白狗の妻となった女、吉祥天女像と交わった男、天狗の幻術くらべ、安倍晴明、紫式部、花山天皇、西行法師……、『日本霊異記』『今昔物語集』『宇治拾遺物語』などの代表的な説話集から歴史書『大鏡』、紀行文『海道記』にいたる平安・鎌倉期の17作品から精選された珠玉の82編を収める。ファンタジーにユーモア、時には能芸や和歌を語る奇談の数々は、奇想天外、摩訶不思議、多情多恨、絢爛華麗、抱腹絶倒。稀代のアンソロジストが流麗な現代語訳で遺した美しくも哀れな古典幻想文学の花束をどうぞ!

目次

日本霊異記/狐妻/役の優婆塞/吉祥天女像/石を産む/日本往生極楽記/智光曼荼羅/大鏡/後少将義孝/花山院/今昔物語集/一角仙人/震旦の天狗/染殿の后/博雅朝臣と薰丸/蕪の怪/油瓶の怪/嫉妬/乳母の怪/舞茸/瓜/北山の狗/巨人の屍/不思議の小船/萱草と紫燁/成通卿口伝日記/鞠の精/唐物語/雪々/古事談/称徳天皇と道鏡/浦島子/陽成天皇と神器/宇多法皇と源融の霊/怪女漂着/業平と小町/伴大納言の夢/鳥羽院と崇徳院/実方の執心/無毛の大鳥/浄蔵の鉢/大御室の寿命/堕地獄/笛を聞く大蛇/花山院の前生/発心集/転生の蝶/亡妻の現身/白髪丸/続古事談/神泉の竜/文書の守神/十訓抄/蜂飼の大臣/宇治拾遺物語/平茸の村/稚児の空寝/百鬼夜行/清徳聖の奇特/僧の盗み食い/三条中納言と水飯/外法/陽成院の化物/一条桟敷屋の鬼/まどわし神/夢買う人/魔往生/纐纈城/魚養/今物語/不思議の文字/地獄の紫式部/古今著聞集/験競べ/当麻曼陀羅/能因法師/小野小町の壮衰/女房小大進/咤祇尼の法/成通の今様/天竺の冠者/鬼の足跡/水餓鬼/泰通邸の狐/唐猫変化/螺の尼/伊勢の人魚/沙石集/雉/撰集抄/人を造る/恵心僧都の水観/経信と鬼神/平家物語/二代の后/頼豪阿闍梨/ /海道記/鶯姫/編訳者による解題/解説 金沢英之/《王朝奇談集》資料*精選濟/原典所収書目一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

74
平安時代は王朝の雅さに反比例するよう夜はどこまでも濃く闇に塗りつぶされている、そんなイメージがある。本書はそんな平安時代に記された奇談を選りすぐったアンソロジー。訳者の文体が持つ典雅な魅力がこの時代の文章にぴったりと合っており読んでいて実に心地良い。内容も役行者の伝説から円仁が唐の地で出会った人血で布を染める纐纈城といったスケールの大きい話から、舞茸を食べて舞い踊る人々や盗み食いをする僧、寝たふりの稚児など当時の人の息吹が感じられる話まで多岐に渡る。古典の持つ力、話の持つ力を再確認させてくれる一冊でした。2022/12/21

藤月はな(灯れ松明の火)

65
編纂者が須永朝彦氏の為、書物の王国シリーズ(国書刊行会)と重複している作品もあり。「役の優婆塞」が役小角の偉大さという「聖」を表すのに対し、その次の「吉祥天女像」で吉祥天像に欲情するという「俗」を提示する作品を配すという大胆さに舌を巻く。一目垣間見たが故に激しい愛欲に堕ちて鬼になった僧に魅入られた后の淫靡な関係で有名な「染殿の后」の鬼気迫る描写も素晴らしい。「鶯姫」は異説「竹取物語」。「巨人の屍」は淀川に迷い込んで亡くなった鯨の遺体の始末がニュースになる今だからこそ、タイムリーな読書になりました。2023/01/15

翠埜もぐら

20
あちこちの説話集や歴史書?から不思議な話を集めたため、一話が短くて大変読み易かったです。仏教関係は多少末香臭かったけれど、巨人の死体の話とか、おいたした蕪で妊娠しちゃった話とか、きわどい話もあってやっぱり今昔物語からの話は面白いわ。宇治拾遺物語の「稚児の空寝」なんてそのまま絵本にできそう。かわいい。2023/06/26

gorgeanalogue

18
夏休みのお供。怪異譚を読むには、ものみな炎天に焼き尽くされたような夏がふさわしい。編者の須永明彦氏はなぜか、読みそびれていて、敬して遠ざけることになってしまっていた。折口信夫の「古語復活論」を思い出すまでもなく、訳文が訳されすぎず、古語が残されているのが、無教養な読者にとってはありがたくまた味わい深い。「古事談」の「大御室の寿命」は「捜神記」にも出てくる話に似ているし、説話の源流をたどるのも面白い。一方で解題にも「類例が無い」とある、「選集抄」の「人を造る」には魂消た。吉田健一の怪異譚にも似た読後感。2022/08/23

凛風(積ん読消化中)

13
平安時代から鎌倉時代の、ちょっと不思議なお話を集めた本。『今昔物語』あたりは有名どころが多く抜粋されていたけれど、今回は『古事談』を読めたのが良かった。多分、初読みだと思う。こんなに面白いのに、何故、読まれないのだろう、と思って解説を見たら、原文は和漢混淆文で難解らしい。なるほど。全体に一人の編者が翻訳しているので、原典の違いが目立たず、わかりやすい現代語訳で読みやすい。その上で、古文の風雅は十分に残されていて、味わい深い。「読書の秋」らしさを満喫できました。2022/09/25

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