月の立つ林で

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月の立つ林で

  • 著者名:青山美智子【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • ポプラ社(2022/11発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784591175354

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内容説明

長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える自動二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事と家族のバランスに悩むアクセサリー作家。 つまづいてばかりの日常の中、タケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』の月に関する語りに心を寄せながら、彼らは新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

1225
5つの連作短篇からなる作品。それらは相互に密接に関連している。どうしてこれほどに世間が狭いのか。いくら何でも密接に過ぎるだろう。それは作家によって恣意的に構成されているからに他ならない。青山美智子は初読なので、この作品だけで語ることはできないかもしれないが、どうやらこの人の小説には、物語が本来持っているはずのモノ(それはモノノケのモノである)が欠落しているのである。つまり、作家の頭の中で組み合わされた素材が巧みに配列され、小説の結構をとっているということだ。エンターテインメント小説だから⇒2023/10/26

ろくせい@やまもとかねよし

1142
非常な驚きと涙で読了。私の後悔と希望と祈りがそこにあったから。最終盤、出て行った母親が父子に接する場面。息子が抱く積年の不安と後悔と祈りが発露され物語は終わる。人間関係は異なるが、この描写が心情と重なった。青山さんは、一貫して、無自覚に自発する利他の大切さを訴える。他人から蔑まれている、理解されない、嫌われていると感じても、共有できない価値観を感じたとしても。それは距離が近いからこそ、その相手の利他的思い遣りを見失っているだけだからと。時間や経験の量ではなく、利己的に利他を施したいと思い合える相手は尊い。2023/03/28

starbro

1060
青山 美智子、3作目です。本書は、著者版竹取物語、タイトルも中身も秀逸、ルナティック家族連作短編集の感涙作でした。タケトリ・オキナのポッドキャスト『ツキない話』を聴いてみたい♪帯の最高傑作の文字は信用していませんが、本書は著者の最高傑作で良いと思います。昨年読んでいたら2022年のBEST5入りでした。著者は2年連続本屋大賞2位ですが、本作で初の本屋大賞を狙えるかも知れません。 https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008405.html2023/01/10

さてさて

1057
『私は今まで「できなかった」のではなくて、「しなかった」だけなのだ』。さまざまな境遇にある五人の主人公達がそれぞれの人生の中に抱く悩み苦しみが描かれていくこの作品。そこには『ポッドキャスト』の語りに人生を前に進めるための気付きの瞬間を見る物語が描かれていました。『月』にまつわるあんな話こんな話に興味を掻き立てられるこの作品。そんな話から気付きの瞬間を絶妙に展開させていく青山さんの上手さに魅せられるこの作品。『月』という独特な雰囲気感を醸し出す存在が、青山さんの作り出す物語世界に絶妙にマッチする作品でした。2023/09/30

ちくわ

1049
輝く太陽のように眩しく強い光線ではなく、暗い夜に優しく地上を照らす雰囲気が何だかスーっと心に沁み入る。共感を憶え、一筋の涙を流された方も多いのでは? 不肖ながら心の薄汚れた自分ですら2回ほど泣いた。 また、上げて落としてまた上げる共通したプロットが、予定調和でありつつも心地よいリズム(≒周期)を生んでるのかな?と。 通読中ふと感じた…『ツキない話』が共通鍵である事、登場人物達が繋がっている事…それを彼らは知らない。知るのは俯瞰で読む自分だけである。嗚呼、何だか自分が月であるかのような気持ちにさせられた…。2024/10/10

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