内容説明
【第3回京都文学賞〈中高生部門〉最優秀賞受賞作】
京の街は、夢の見方を教えてくれる――
明治五年、博覧会の開催に沸く京。故郷丹後で天然痘にかかり失明の不安を抱えた少女ちとせは、鴨川でひとり三味線を弾いていた。
素朴な調べに声をかけてきた俥屋の跡取り藤之助に誘われ、見知らぬ街をめぐるちとせ。閉じてゆく視界の中で懸命に焼き付ける、折々の風景、都の人々。
一心に弾く三味の音は、やがて新たな光となり……。
揺れ動く少女の葛藤と成長を、17歳の新星がみずみずしく繊細な筆致で描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
211
高校生直木賞に参加していた現役女子高校生が書いた第3回京都文学賞中高生部門最優秀賞受賞作ということで読みました。本作は、明治京都三味線青春恋愛譚の秀作でした。高校生が書いたと思えない完成度の高さ瑞々しさです。 主人公のちとせが、非常に魅力的、三味線の音色が聴こえてきそうです♪ https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=9784396636357 https://www.shibushibu.jp/news/topic_20221111.html 2022/12/20
mike
82
情景描写が上手い作家さんだと思った。京都の川沿いの風景、四季の移ろい、三味の奏でる豊かな音色。一つ一つが鮮やかに浮かび上がってくる。作者はとても若い方だが、なにゆえこの三味線という題材を選んだんだろう。何か特別の思い入れがあるのだろうか。そして次作はどんな話なんだろうと期待が膨らむ。2025/09/04
サンダーバード@読メ野鳥の会・隊鳥
75
【2026-65/図書館本-50】第3回京都文学賞中高生部門最優秀賞受賞作。明治維新後の京都、疱瘡を患い一命をとりとめたものの、やがて目が見えなくなってしまうという少女、ちとせ。生きるすべを身につけるべく、親元を離れて三味線の稽古に勤しむ。僅か14歳で失明するという恐怖と闘いながらも懸命に生きていこうとするちとせの姿に心打たれる。作者はこれを書いた時点でまだ高校生、次作もなかなか良かった。今後に期待したい若い才能ですね。★★★+2026/05/13
がらくたどん
67
明治維新直後の京都。三条河原で独り三味線の稽古に没頭する痘痕の少女。失明を運命付けられ世過ぎの手段にと遠い漁村から都の芸妓に預けられた14の少女の一年。ずっと御所の街だったのに「天皇」が東に渡りともすると惜寂の風が吹く京都の姿。老舗車屋の跡取り息子の惑い。自分の藩を潰した政府の吏となった青年の迷い。維新の波で恋を手放した芸妓の哀しみ。いくらでも盛り込めるあれこれを背景に沈め、ひたすらに少女の芸への一途と失明への怯えと恋や都への高揚と故郷の父母への思慕の渦を描く。若い作家ならではの無欲な渾身が眩しく愛おしい2026/05/28
もぐもぐ
56
読み終わってから著者が高校生と知ってとても驚きました。落ち着いた文章と、登場人物たちの瑞々しい描写が素晴らしい。疱瘡を患い、やがて失明する運命にある14歳のちとせが、将来自活するために京都で三味線修行をする。不安や葛藤の中、様々な人との出会いを通して大きく成長していくちとせの姿がとても力強かった。菊の想いや座頭とのやりとり、話の深みと表現力に感服です。今年一番びっくりな本かも。2023/07/05
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