ハヤカワ文庫SF<br> ジェイクをさがして

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ハヤカワ文庫SF
ジェイクをさがして

  • ISBN:9784150117627

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内容説明

〔ローカス賞受賞〕ロンドンは、どこからともなく出現した謎の存在“イマーゴ”に幾度となく蹂躙され、無秩序状態に陥っていた。わずかに残った数千人の市民は、レジスタンスを組織し抵抗運動を続けていたが、容赦ない攻撃を繰り返すイマーゴの前になすすべもなかった……。グロテスクなイメージに彩られたローカス賞受賞の傑作「鏡」、世界の終焉を迎えつつあるロンドンを彷徨う男を描いた表題作ほか、英国SF界の旗手によるラディカル・ストーリイ全14篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

59
『ボールルーム』と『細部に宿るもの』は展開と最後で受ける印象が対照的な作品でした。とクリスマス狂騒曲である『あの季節がやってきた』、正体不明の若者である敵に追撃される老人の妄想とも現実とも言える悪夢を描いた『もうひとつの空』、慈善団体に嘲笑を浴びせた者への報復が人知れず、恐ろしい『飢餓の終わり』が印象的でした。最後の劇画で展開される兵士達と兵士の謎を突き止めようとする男の話はもしかしたら関与したかもしれないのに感知できないまま、終わってしまったラストは『となりまち戦争』の反転劇のようでした。2013/11/01

催涙雨

40
最近はあまり翻訳されなくなったようですが、一時期はハヤカワによって積極的にSFの領域で紹介されていた痕跡の残る作家です。以前読んだ都市と都市にしても本作にしてもホラーや幻想の色味が強く押し出された作風に思えるのですが、もっとSFに寄った作品もあるのでしょうかね。好きなのは表題作である「ジェイクをさがして」「仲介者」「細部に宿るもの」「飢餓の終わり」あたり。多くの場合で結末が非常に曖昧なのがこの短編集の特徴であり、より作品の印象をホラー寄りにしている理由のひとつ。2021/11/01

tom

19
SFとあるけど、ほとんどホラー小説でしょ。鏡の中に別の世界があって、何かの拍子に、鏡の中の世界から人があふれ出してきて、こちらの世界の住人を殺しまくる。あるいは、窓の向こうに怖い世界があって、そこからこちらの世界を脅かす。不気味さとおどろおどろしさの世界。語り口とあいまって、独特の物語世界になっている。好きな人は、好きなんだろうなあ。でも私には、さほどに興味の惹かれない物語世界でした。2017/07/08

かりさ

15
いや~思った以上に楽しめました。SFというより仄かなホラー(シュールさもあり)を彩った幻想小説、と言った方がしっくりきます。いろんな世界観を描いていてそのひとつひとつが異形たちの物語で、これがたまらなく魅力的。グロテスクな場面と共に、異形たちの息づかいがすぐそばで感じられるような描写に引き込まれます。物語の不確定さ、歪んだ世界の不安定さがまとわりつく感覚。不気味さを感じながらも離れがたい感じが好き。お気に入りは「ジェイクをさがして」「基礎」「ボールルーム」「使い魔」「仲介者」「もうひとつの空」「鏡」。2010/12/09

すけきよ

9
半分くらい既読だなぁ、と思ったら、今のところこれで全部なのね。SFともファンタジーともホラーともつかず、結末も不明瞭で落ち着かない読後感。他の異色・奇想系ともちょっと味わいが違うんだよね。なんとなく、ざらついた写真というか。みんないいんだけど、個人的には「ジェイクをさがして」「ロンドンにおける“ある出来事”の報告」「ある医学百科事典の一項目」「細部に宿るもの」「仲介者」「飢餓の終わり」「ジャック」あたりが……いや、やはりみんなオススメ。2010/07/07

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