内容説明
知らなかった「キーンさん」がここにいる! 同時代のカワバタ、ミシマの話から「超大国日本論」、そして美味しい料理屋の紹介まで、本邦初訳の27編。
これらは、ドナルド・キーンという類い希な日本文学者が、アメリカの読者に向かって日本をどう紹介したかを示すとともに、アメリカがどんな時に日本について知りたいと思ったか、日本文化を理解しようとしたかを示す、もう一つの戦後日米文化史でもある。
目次より
〈書評〉谷崎潤一郎『蓼喰ふ虫』E・サイデンステッカー訳
〈書評〉大岡昇平『野火』アイヴァン・モリス訳
〈エッセイ〉日本文学の翻訳について
〈エッセイ〉大歌舞伎、初のニューヨーク興行
〈エッセイ〉戦後、日本人は変わったか?
〈投稿〉編集主幹へ――日本の選挙を分析する
〈書評〉コルタサル『石蹴り遊び』
〈エッセイ〉日本文学者という「専門家」の告白
〈エッセイ〉川端康成のノーベル文学賞受賞
〈エッセイ〉ミシマ――追悼・三島由紀夫
〈エッセイ〉超大国日本の果敢ない夢
〈エッセイ〉大都会東京の「素顔」
など
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
52
外国人としての日本文学研究の第一人者と目されるドナルド・キーン。本書は、彼が1955年から三十年以上にわたって『ニューヨーク・タイムズ』投稿した記事を集めたもの。書評とエッセイが主であるが、キーンさんの日本人作家や日本の文学に対する文章は、日本の評論家のそれ以上に対象に惚れ込んでいるためだろうか、奥底に温かみが感じられる。書かれている事柄は半世紀ほど以前のものであるが、当時の日本をキーンさんの目を通して活写したところに、本書の希少さがある。現代日本に、キーンさんという希有な存在がいたことの有り難さを思う。2022/06/15
tetsubun1000mg
12
1955~1987年にかけてニューヨークタイムズに寄稿したドナルド・キーン氏のエッセイを翻訳して紹介。 キーン氏の自伝を読んでそこそこ知っているくらいのレベルだったが、日本文学への知識、理解の奥深さに驚かされる。 川端康成のノーベル文学賞受賞は順当かと思っていたが、世界で評価が高かったのは三島由紀夫、谷崎潤一郎、大江健三郎などという主張が目新しかった。 中でも歌舞伎のニューヨーク興行の様子の紹介が心に残った。 また、キーン氏の日本文学研究が当時のアメリカでは本当に異端な存在であったのかを知ることができた。2022/03/15
本の蟲
12
日本文学研究の第一人者にして、晩年は日本に帰化したドナルド・キーンのエッセイ。1955~87年にかけて「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿した27編。日本の現代小説の翻訳がほんのわずかな時代に、日本文学と文学者の紹介。日本初のノーベル文学賞受賞について。歌舞伎のニューヨーク興行。戦後の日本人は変わったのか? 日本の選挙分析。オイルショックに対する日本人の反応等、日米関係含め、海外の視点からの、当時の日本の世相が見えておもしろい。2022/03/12
氷柱
6
842作目。3月21日から。最近の作品ではあるが、内容は時代がかっている。それもそのはず、ひと昔前の人物の手によるものなので所々での年季の入り具合は見て取れる。しかし概ね今の日本文化と大差がないこともわかる。客観的な目でひとつ前の時代の日本を見つめ直すのに最適な作品であった。またカバーがおしゃれでついつい手に取ってみたくなるような良いデザインである。2022/03/23
Hiro
4
村上春樹が現れさらに多数の日本人作家の本が世界の書店にペイパーバックで並ぶようになった今、本書の著者を改めて珍しく読む機会はめっきり減ってしまったように思う。昔は物好きで奇特な外国人に日本がどう映っているのか自虐的な自己満足に駆られて読んだものだが。これからは心から日本を愛した一米国人の下した、日本文学についての正味の評価をその数々のエッセイで楽しみたい。本書で言えばやはり川端、三島、谷崎を語ったエッセイである。また近松や西鶴について。他の時事的なものや日本紹介のエッセイも懐かしいものではあるが。2024/12/14
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