内容説明
権力の正統性はいかに歪められたか?
日本が占領から独立を回復して70年が経った。時の政権は“保守本流”宏池会出身者である。宏池会の領袖だった宮澤喜一は「占領というのは非常に屈辱だ」と述懐した。公職追放という最高権力が振るわれる傍で、数多の日本人が理不尽な目に遭っていた。私たちはこうした事実を忘れたままでよいのだろうか? 本書は、著者が収集した史料や証言をもとに、広島カープ創設者悲話、フリーメイソンと宮内庁の攻防、三木武夫とGHQの蜜月、田中角栄伝説誕生の舞台裏を描くことで、GHQによる公職追放の恣意性を浮かび上がらせる。また、当時の混乱がこんにちの「保守本流」のあり方までをも規定したことを示す、実力派による刺激的な現代史である。
【目次(仮)】
序 「あのお話はなかったことにして下さい」
第一章 広島カープの「生みの親」谷川昇の軌跡
第二章 「バルカン政治家」三木武夫の誕生
第三章 フリーメイソンと日本の有力者たち
第四章 「田中角栄伝説」と戸川猪佐武『小説吉田学校』
おわりに 「道義のない民主々義はありません」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
98
山崎首班事件はGHQが首相指名にまで干渉した事件として有名だが、これを田中角栄が与党総務会で批判して吉田内閣実現に奮闘した話は映画にもなった。おかげで角栄は吉田直系の保守本流とみなされて首相への道が開かれたが、実際には総務会は開かれておらず吉田に目をかけられてもいなかった。本書は『小説吉田学校』の内容変遷を検証し、全ては角栄にすり寄った戸川猪佐武の創作であり、戸川が政治的売文業者でしかなかった事実を証明する。保守本流の申し子とされてきた角栄伝説を覆すもので、日本政治史の前提が誤りだった重大発見といえよう。2023/01/28
Toska
20
なぜ占領史は「語られざる」存在だったのか?の答えは序で示されている。要するに思い出したくなかったのだ。だからこそ宮澤喜一は頑なに証言を拒み、白洲次郎は実態と異なる「日本で一番カッコイイ男」の自画像を捏造した。占領されているから当たり前なのだが、万事がGHQの意向次第であったこの当時、政治エリートにとってはプライドもへったくれもない。そんな厳しい時代を、地に足のついた描写で淡々と描き出した一冊。2024/07/17
ジュンジュン
17
同著「昭和天皇の敗北」がまずまずだったので、タイトルだけで本書を選んだが…内容は論文をまとめたものだった。占領下=GHQの圧倒的影響力を確認していく。田中角栄のイメージ戦略(四章)は毛色が違うが、論文集なら仕方ない。2025/06/11
茶々丸
3
敗戦によりGHQの占領下におかれた日本。その裏面と言ってもいい出来事を掘り下げていて、興味深い。 公職追放を巡る駆け引きであったり、フリーメイソンのら日本への浸透、山崎首班事件などあまり表に出てこない話しばかりで、飽きさせない。 特に、GHQから三木武夫元首相がの評価が高く、占領期に首相に推されていたというのは知らなかった。逆にいえば、その頃から政界の上の方にいたんだな。2023/01/09
辻井凌|つじー
2
誰も本当の戦後を知らない。思わぬ切り口から戦後まもない日本の実像を真正面から照らした本。パブリックイメージと異なる三木武夫や田中角栄の姿、日本のフリーメイソンの真実、広島カープ創設とGHQの影など興味をそそる内容ばかりだ。おもしろい。2024/11/20
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