内容説明
読める わかる
知の高峰を「読み平らげる」新シリーズ第1弾
人だれしもが抱く「ほんとうの生き方」への憧れは、近代において、どのようなかたちをとりうるか。魂の通じ合いとしての恋愛。社会変革を目指す革命。道徳的生き方、芸術と学問による自己表現――『精神現象学』は、近代社会における人間の生と社会の在り方の「可能性」を、深く洞察した希有の書だ。難解で鳴るヘーゲルの文章を徹底的に解読し、これまでになく平易かつ明快な言葉で、思想の新たな可能性を開く。
[本書の特色]
●原典の訳文に忠実に
●その上でより平易に、わかりやすく
●解読度を【A】から【D】で表示
●「章頭解説」で各章を簡潔に要約
●難所難所に解説を配す
●巻頭・巻末解説で著作のトータルな理解が可能に
目次
緒論
第1章 意識
第2章 自己意識
第3章 理性
第4章 精神
第5章 宗教
第6章 絶対知
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうきなかもと
10
難しいが、じっくり読めば、理解可能。難解で知られるヘーゲル『精神現象学』の全体像を要約した本。 以下、気になった箇所を引用。《両者はともに自分の中で自己確信を絶対化して対立している》《この対立は、両者の概念の対立、つまり、自分自身の本質をどう捉えるかの相違から現れている》 《「自我」を通して、両者は現実の関係の中で対立を意識し、その対立の意味を自覚する。そしてこの対立の運動だけが双方の自覚を深めて対立と分裂を克服する方向へと導くのだ》 対立した双方が自我を認識判断する姿勢がないと対立の解消はありえない2016/08/14
白義
9
超解読より高度だけど原書の構成に忠実な分、かえって慣れた人には分かりやすいかもしれない。精神現象学全体の優れた要約副読本。しかしやっぱり、相互承認を知った良心に最大の重点を置く竹田、西のヘーゲル読解はかなり両者の思想に翻訳されてる気がする。なんだか、ものすごく座りのいい市民哲学を読んでるみたいで物足りない感がある。それを差し引いても精神現象学入門としては当然オススメだし、普通の人にはこっちのほうがいいとは思う2011/12/04
fukurou3
5
ヘーゲルという人の文章は人間の内面、労働、歴史、社会、当時流行っていた考え方の解釈・批判などがごっちゃになっているように感じた。もっと整理して書いてあればいいのにと思う(無理だけど)。キリスト教の考え方からは抜け出せないようにもみえる。また、後から何とでも解釈できるような難解さ(曖昧さ)もありそう。訳文や解説もわかりやすく書くようにしてくれてはいるものの、哲学業界では当たり前なのかもしれないが、「学」とか「奴」とか普段使われないような日本語の使われ方がされているので、権威主義的な感じがしてとっつきづらい。2013/08/12
よしくん
4
これまでちょくちょく聞いてきたヘーゲル 観が一変した。ありもしない真理を語るだけとか、歴史は進歩するとかデタラメ言ったとか、兎角ヘーゲル は間違ってる、ヘーゲル ではダメなんだって話ばかりを聞いてきたので、(おまけにクソ難しいのは知ってるし)読んで来なかったが、間違っていた。とりあえず、ありもしない真理なんか語っていない。ヘーゲル はむしろ既にある真理を深く納得、自覚しなさいと言っている事がよくわかった。それはそうと、最終章の絶対知で難易度がとてつもなく跳ね上がる。慌てて最初から再読している。2023/07/25
tunehiro
4
あの難解なヘーゲル「精神現象学」に、”ちょっとだけ”近寄ることができた。その真髄は、「人間の本質的存在」と「歴史、社会的本質論」にある。この人間の精神がいかに絶対的な「知」の獲得に向けて進んでいくのか、というのだ。「私は世界の全てである」。2009/06/14




