内容説明
ポーランド、ハンガリー、ルーマニア――。
ロシアの侵攻後、ウクライナの人々をいち早く難民として受け入れた東欧諸国のしたたかな二面性とは?
いま世界が最も注目する地域の現在・過去・未来を、戦争以前から各国で取材を重ねた記者がルポルタージュした1冊。
目次
プロローグ
第1章 ポーランド
第2章 ハンガリー
第3章 ルーマニア
第4章 ボスニア・ヘルツェゴビナ
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
107
日本人はソ連崩壊で東西冷戦は終結したと思い込んでいたが、長い政治的対立が残した傷跡は今なお癒えていない東欧の現実を報じる。自由を得ても経済的格差は広がり、内戦で性暴力により生まれた子は自らのアイデンティティに苦しみ、親が外国へ出稼ぎに行って残された家族は見捨てられ、EUに加盟しても西欧の上から目線にさらされる。明日が見えない状況で「こんなはずでは」と苦しむ国民が強権政治に惹かれたところへウクライナ戦争が起き、避難民の流入で矛盾や混乱があらわになった。理性と感情とどちらに振れるか、難しい選択を迫られている。2023/02/02
Nobuko Hashimoto
24
表紙からてっきりウクライナ難民の避難先での困難を取材したものかと思っていたら、向かった先の国々の近年の動きをまとめたものだった。ポーランド、ハンガリーのポピュリズム、ナショナリズム、保守政治、出稼ぎが多いルーマニアの孤児の問題、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの内戦の性暴力被害者やその子どもたちの問題など、現地を訪ね、関係者を探し当てて取材している。2023/04/24
紫の煙
13
ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ボスニア・ヘルツェゴビナを解説。日本人にとって最も分かりにくい地域の一つである東欧は、ロシアやヨーロッパの大国の意図で、民族に関係なく国境が引かれてきた。特に旧ユーゴは悲惨である。ソ連崩壊後、各国は西欧化を目指してきたが、ここにきて様々な問題が表面化している。ウクライナを支援する美談だけでは済まない、実情が分かる。2023/03/13
sakadonohito
10
思ってたのと違う内容でちょっと残念な読書だった。ウクライナをだしに周辺国の情勢を書いただけなのでは?と感じてしまった。その中ではボスニア・ヘルツェゴヴィナの内容はヘビーで暗い気持ちになった。性被害はずっと被害者のまま生きていかなければならなくなるのが不憫でならない。男性優位のイスラム社会、中絶禁止のカトリック社会は女性にとっては運が悪いとすぐ地獄なのでは?2025/05/26
nori
7
Something missing in this book published on oct31, 2022, if it is related to Ukraine. Because, there is no analyze of reason why Russia invaded. For example if author study well why Bosnian War. where NATO made air raid to Serbia, we may get some hints.2023/01/17