内容説明
法的責任は、限定的なものなればこそ、当事者の意に反してさえ強制できる。しかし、日常的な場面での果たされない責任を追及する手段として、法的制度が利用されるときには、人々の抱く責任観念と法特有の枠組み・法についての構想とのあいだでせめぎあいがおこる。このせめぎあいの構造を分析し、法的責任の意味、管理の論法を問う。
目次
序章 社会における責任と法
第1章 <法的思考〉と社会学
1.1 どのような責任について論じるのか
1.2 <法的思考〉へのアプローチ
1.3 <要件=効果モデル〉としての法的思考
1.4 <目的=手段〉思考と法的思考との緊張
1.5 ルール・原理・政策:Dworkinの法理論をめぐって
1.6 <政策〉による論証と日本の不法行為訴訟
1.7 社会における法:法の自律性と社会学
第2章 日本における不法行為責任の基本原理
2.1 不法行為責任の偶有性
2.2 不法行為責任の基本原理(1):権利侵害と違法性
2.3 不法行為責任の基本原理(2):過失責任主義の役割
第3章 帰責原理はどのように正当化されてきたか
3.1 過失責任主義とその無過失化
3.2 不法行為責任の正当化
第4章 不法行為制度の〈目的>:機能の規範的選別と序列化
4.1 不法行為制度を捉える視点:目的と機能の混在
4.2 <主たる目的〉としての「損害填補・被害者救済」
4.3 <副次的〉機能の不安定な位置付け:抑止と制裁
[付論] <被害者救済〉理念からの制度評価と〈脱道徳化>
第5章 制裁性をめぐる争い:制度目的論の役割
5.1 補償的賠償と懲罰的賠償
5.2 民刑峻別論とその批判:制裁性否定の法学的背景
5.3 制裁性を法的に否定する論理:目的論は何を可能にしたか
5.4 慰謝料という賠償
5.5 定期金請求で実現されたこと、されなかったこと
第6章 法的責任の道徳化はどこまで可能か
6.1 法と強制:その関係の問い方
6.2 不法行為責任を道徳化する論理とその難点
6.3 修復的司法論における責任の道徳化
6.4 強制される責任と自発性
終章
文献
あとがき
人名索引
事項索引
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