内容説明
母親が望む父親と同じ道に進んだ女性医師は、刑務所のお医者さんになって「天職」を見出した。〈文身〉〈傷痕〉〈玉入れ〉など、受刑者カルテには独特の項目はあるけれど、そこには切実に治療を必要とする人たちがおり、純粋に医療と向き合える環境があったからだ。薬物依存症だった母との関係に思いを馳せ、医師人生を振り返りつつ、受刑者たちの健康と矯正教育の改善のために奮闘する日々を綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
95
頭が良くて、ルックスも良くて、テレビにも出てくるおおたわ先生。父親から引き継いだ医院を閉じて、矯正医官になっていた。実は私もちょっとやりたいのだ。女子少年院の医者をやりたい。お金よりもやり甲斐を求める生き方。本書には多くの暴力団員が出てくる。家族に恵まれず、やっと気にかけてくれた相手が暴力団員だった場合、人は生き方を選べるだろうか。何度も刑務所に戻ってくるのは生活保護に繋がらない知的障害も多い。受刑者の多くは知的障害である。彼らに反省しろと言っても届かない。偏見のないおおたわ先生だから書けた本。良かった。2025/01/11
ma-bo
91
TVのコメンテーター等で芸能活動もされている医師おおたわ史絵さんは、2018年頃から刑務所内の受刑者への医療(矯正局医師というらしい)を行っている。語りかけるような文章で、分かりやすく読みやすかった。医師の目線での刑務所だからこその特別な事(刑務所あるある的な内容)を軽妙なタッチで描かれている内容と、現場での問題点・受刑者の実情等シリアスな内容もあり勉強になりました。2023/02/01
mike
80
おおたわさんはプリズンドクターとして5年間勤務している。私達は絶対に見ることが出来ない塀の中の診察室の風景。そこで彼女が見た様々な受刑者の姿と国が考えるべき診療体制等どれをとっても興味深かった。何故税金を使ってまで罪人を助けるのか?私もかねがね感じてきた疑問。それは、刑務所は罪人を懲らしめる所でなくしっかり働いて罪を償うところだからだ。だから健康で働けるように管理しなくてはならない。なるほど納得。(コロナ禍の感染防護服も数多く作られたとは驚き。)前向きで真っ直ぐな考え方、とても尊敬できる人だ。2024/12/02
キムチ
69
中身の重さに反し、執筆時の筆者の姿勢の高潔さが装丁と相まって見えない部分を思わせられる・・少し、気持ち緩めるのは無理かなと。。矯正局Dr,即ち塀の中の医師。TVでタレント化していた事は知っていた筆者が新な路程に歩みを進めた発意から始まる当作は8章構成。ボリューム、文、多用される現場事例紹介、何れも申し分のない中身(巧み過ぎ)実母の病気、女子刑務所、未成年犯罪、作業所等など、刑務所を興味本位ではなく 社会へ認知度を高める一冊になっている。筆者の提案も随所・・「価値観を変える」入管局事件がうやむやに流れた今→2025/01/22
ノンケ女医長
69
開業医を父親に持つ、著者。「少し大事な話を聞いていただけるだろうか」(133頁)と、読み手に断りを得て、実母が薬物依存症だったことを告解している。今作では、その母親の言動は控えめな表現となっているが、使用薬品等を考えると著者の養育環境は相当に過酷なものであったと考えられる。華やかな経歴ののちに刑務所の医師を選択した理由も頷けるような気がするし、触法行為で収監された人々との対話は、今後彼女がさらに躍進するためには重要なものになるんだろうなと思えた。おおたわ先生が慢性的に抱える空虚感を、私は心配する。2022/12/31
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