内容説明
日本の水道管は総延長にして地球17周分、うち4周分は法定耐用年数の40年を過ぎている。しかし、地中に埋められた水道管は、材質や地質、環境によって大きく寿命が異なり、交換の優先順位を的確に見極めなくてはならない。今、その難題に挑むのが、水道管を「見える化」するDX技術を持つAIベンチャー「フラクタ」だ。全米82・国内34事業者が採用、その精度世界一。水インフラの救世主、挑戦のドキュメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
72
水と安全はただてある。しかし、我が国のその安全ただが崩壊しつつある様に、水道も崩壊しつつある。そんな事を思わせた。元々、ぼんやり水道事業に近年興味があり、何か読みたいと思ってきた折に出逢った本書。ご自身の会社であるフラクタの事も勉強にはなったが、それよりもやはり水道事業という物を把握出来た事が一番だった。これよりその把握に相応しい本はあるのかもしれないが、もう少しまたこの水道事業に関する本を読んでみたいと思わせてくれた一冊となった。2023/11/12
kenitirokikuti
9
水道関係の本、特に民営化反対のやつ、ある程度の正しさはあるのだが、けっきょく合理化反対闘争レベルのことしか言えないのばかりで辟易させらるのだが、本書の著者はベンチャー系のひとで、いろいろ知りたいことを知れて良い本だった。水道インフラの資産価値ってのは修繕費が大きいので、そこをAI学習で効率化できる、そしてそもそもの水道インフラ資産価値を正確に把握できるようになる、そしたら長銀みたくハゲタカの足払いで一本取られるこたぁ避けられるだろう、となところ。2022/11/23
Olly
8
地中にある水道管の劣化は使用年数だけでは判断ができない。土壌との化学反応による配管腐食が劣化の主原因である。腐食の進行には、土壌の水分や成分、設置箇所の勾配や通水の量等の要因が関わる。過去の故障データを元に既設配管の故障確率をソフトウェアで予想できる。更に計算結果に保守担当者の経験を補うことで制度は向上する。水道の民営化の利点は値上げがしやすいことで水道管の更新を促進できるが、海外の悪い例だと値上げだけして施設更新を怠る場合もある。事業者との契約で漏水率などの実績に応じて対価を払ってもいいかもしれない。2024/04/29
C-biscuit
8
図書館で借りる。日本のみならず、老朽化する世界の水道を救うベンチャー企業「フラクタ」の現会長の著書である。フラクタはAIを駆使した配管の寿命や漏水予測をするソフトウェアに限定した企業で、大きな成果を上げている。それでもまだまだベンチャー企業であり、この先の発展は無限に広いように感じる。日本より先にインフラが整備されたアメリカでは、水道管の漏水も激しくフラクタの技術を使い効率的に更新されている。日本のインフラも限界に達している部分があり、特に水道は中小の自治体が運営していることもあり、茹でガエル状態である。2022/12/29
Koki Miyachi
4
日本の水道、いや世界的な水道の危機を知った。水道の経年劣化による危機的状況、政府や民間会社の無責任さ、利用者の無関心。もろもろの構造的な課題に立ち向かうAIベンチャーを率いる筆者。その熱い思いに心からの拍手を送りたい。2023/02/28