砂漠と異人たち

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砂漠と異人たち

  • 著者名:宇野常寛【著者】
  • 価格 ¥1,999(本体¥1,818)
  • 朝日新聞出版(2022/10発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784022518408

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内容説明

情報社会を支配する相互評価のゲームの〈外部〉を求め、「僕」は旅立った。そこで出会う村上春樹、ハンナ・アーレント、コリン・ウィルソン、吉本隆明、そしてアラビアのロレンス――。20世紀を速く、タフに走り抜けた先人の達成と挫折から、21世紀に望まれる主体像を探る「批評」的冒険譚。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

42
著者の前著が良くなかったので、しばらく様子をみていた本。読むとはなしに数ページから止まらなくなり、30ページくらいで良い本だと確信を得る。ネットワークに外部は無い。とすれば空間ではなく時間をずらす。そこで著者のキーワードである「遅いインターネット」ということだが、実は著者の言っていることとは合っていない。当然、時間も場所もずらす。著者の言わんとするところは、あえて同期しないことによる異化効果ということだ。コロナ禍真っただ中に100年前のアラビアのロレンスを訪ねる。彼の『知恵の七柱』を彼の内面を探る文学とし2022/12/17

kei-zu

24
「アラビアのロレンス」を「情報に溺れる」現代人の先駆けと、村上春樹を「情報へのアプローチを行う」現代人の一側面と、それぞれ分析を行う。 村上の作風の変化について「デタッチメント(関わりのなさ)」から「コミットメント(関わり)」に変化したという。なるほど、私が同氏の小説に手が伸びなくなったのは、そのタイミングであった。 著者が提唱する情報への「遅い」関与は、これまでの著作を踏まえ、引き続き興味深くある。2023/02/22

冬佳彰

10
何というのか、「これは途中だよね?」って感があるな。途中だから悪いわけでもないが。どうやったら我々は相互評価的なシステムの外部に出ていけるのか?ってお題があり、数章を費やして、失敗例が提示される。例としては、アラビアのロレンス、村上春樹。で、本書での結論は、詩的に表現される「庭」。この具体的な像が分かりにくいが、感じとしては相互評価に依存しない人や物、事のコミュニティのようなことを言っているのかな?膨大な言葉を費やし脱出した先はけっこうオーソドックスな場所だったという感じは否めない。「続く」なんだろうな。2023/08/05

かがみ

7
「空間的外部」を消失した「空間的内部」における「時間的外部」を切り開くための理路として村上氏が「速さ」を追求したのだとすれば、宇野氏は「遅さ」を肯定したといえる。これはどちらが「正しい」という話ではないと思う。少なくとも、いずれかを「正しい」とする二項対立的な思考こそがまさしく「相互評価のゲーム」に囚われた思考ではないか。自らの理想に向かう「速さ」の追求とその理想から逸脱する「遅さ」の肯定というダブルシステムのあいだを自在に往還するということ。それこそが本当の意味での「自立」であるように思える。 2023/08/31

ZUSHIO

7
事前に予習として『アラビアのロレンス』を観ておいて、村上春樹も読み込んでいるので、この本の言わんとしていることが、実によく分かった。自分の感覚的な把握としては、吉本隆明曰くの自己幻想や対幻想や共同幻想の三幻想によって閉ざされた状態であれば、SNS時代の今に始まったことではなく、外部(砂漠)にも内部(壁抜け)にも真の実存はないということ。 三島由紀夫的(村上春樹的)自己幻想の如く体を鍛えるわけでもなく、街中をゆっくり走れという処方箋は、殊にもうタイムを追求しないジョガーである私には共感度は100%だった。2023/01/01

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