内容説明
ヴィクトリア朝期、ディケンズ『クリスマス・キャロル』がベストセラーとなって以降、聖夜の訪れに伴って出版社は作家に怪奇小説の新作を依頼し、特別なシーズンの贈り物として大衆に届けた――幽霊をこよなく愛するイギリスの国民性に根ざす慣例から生まれた作品を、数々の怪奇幻想小説を紹介する翻訳家が精選する。古屋敷に招かれた男が鏡の中に見た幻影「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」、もの悲しい海岸の村で起きたゴシック的怪異を綴る「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」、奇妙な下宿で女性が体験する恐怖の一夜「メルローズ・スクエア二番地」など、知られざる傑作から愛すべき怪作まで13篇を収録。集中12篇が本邦初訳。/【目次】クリスマス・ツリー チャールズ・ディケンズ/死者の怪談 ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル/わが兄の幽霊譚 アメリア・B・エドワーズ/鋼の鏡、あるいは聖夜の夢 ウィリアム・ウィルシュー・フェン/海岸屋敷のクリスマス・イヴ イライザ・リン・リントン/胡桃邸の幽霊 J・H・リデル夫人/メルローズ・スクエア二番地 セオ・ギフト/謎の肖像画 マーク・ラザフォード/幽霊廃船のクリスマス・イヴ フランク・クーパー/残酷な冗談 エリザベス・バーゴイン・コーベット/真鍮の十字架 H・B・マリオット・ワトスン/本物と偽物 ルイーザ・ボールドウィン/青い部屋 レティス・ガルブレイス/編者あとがき 夏来健次
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
84
イギリスではクリスマスには怪談、だそうで ヴィクトリア朝の短編怪談集。 冒頭、ディケンズ”クリスマス・ツリー”いいですね。重厚な感じ。どちらかと言うと詩。 リデル夫人”胡桃屋敷の幽霊”もいいな。悲しい中にも救いがある。 2022/12/24
HANA
75
クリスマスを舞台にした怪談アンソロジー。タイトルにあるように、幽霊が出現する古典的な英国怪談が揃っている。基本的に英国怪談らしく呪われた屋敷、そこに出現するのは因縁ある幽霊といった大筋が共通しているものが多いのだが、そこに如何にして捻りを加えるかという話になっているなあ。白眉は何と言ってもディケンズの「クリスマス・ツリー」。クリスマスツリーの飾りから呼び起こされる記憶を語っているのだが、ノスタルジアと幻想が見事にマッチして好きな人には堪らない作品となっている。聖夜と幽霊の雰囲気に満ちた一冊面白かったです。2023/01/04
★Masako★
63
★★★✰︎☆ クリスマスの時期を含めた冬に起きた幽霊怪奇譚を13篇収録。1話目のディケンズの作品はツリーに関するエッセイ風の物語で、思っていたのとは違い不安を覚えたが、2作目以降は真っ当な幽霊譚。どれもヴィクトリア朝期の作品なので古めかしく突っ込みどころもあるが、その時代やゴシック調の雰囲気を感じるのには良いかも♪好みは子供の幽霊が出る屋敷の話でラストにほっこりする「胡桃邸の幽霊」、ミステリ風でラストにニヤリとした「青い部屋」。ちなみに13篇中12篇は、本邦初訳♪ 2022/12/22
翠埜もぐら
34
そっかー、英国で幽霊話がクリスマスの定番になったのって、ディケンズの「クリスマス・キャロル」からなんだ。納得。と言うことで読み易い短編でのクリスマス幽霊集。時代的、時期的にあまりグロい話はないのですが、それなりに幽霊話でした。フランク・カーバーの「幽霊廃船のクリスマス・イブ」は主人公が恐怖に怯える場所が鼻をつままれてもわからないくらい真っ暗という珍しいシチュエーション。音と気配だけで怖がらせるなんてさすがです。でも汚水に落ちるのは嫌だなぁ。船にまつわる因縁がほぼ判らないと言うのも好きな終わりかたですね。2022/12/24
星落秋風五丈原
33
ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル「死者の怪談The Dead Man's Story」 伝聞スタイル。診療に行った先の女性が超絶美人で、医師は一目ぼれ。だが医師はあっという間に死んでしまった。悪魔が善意をもって彼を生き返らせ、彼女の開く舞踏会に連れていってくれたのだ。そんなうまい話があるか。ありません。彼が知った衝撃の事実とは。この話、よく人が消えます。アメリア・B・エドワーズ「わが兄の幽霊譚My Brother's Ghost Story」語り手の兄の体験談という伝聞スタイル。2024/04/06
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