内容説明
新型コロナウイルス感染症パンデミックは社会に様々な問題を生じさせました。そのなかでも、病気以外の面で最も重大な問題は、世界の市民の間で分断を生じさせてしまったことでしょう。それは、マスクやワクチンをめぐる私たちの判断という日常的な行為によって生じています。
本来、私たちは、マスクやワクチンをめぐって、もっと自由に判断し、行動してよいはずですが、それがどうしてこんなに難しいのでしょうか。それは、私たちの倫理観の中に権力が侵入してきているからです。
本書では新型コロナワクチンを中心に、ワクチンによってどうして分断が生じてしまっているのか、それを克服するにはどうすればよいのかを、倫理の観点からできるかぎり分かりやすく論じています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃれら
24
極めて重要な書物だ。新型コロナウイルス対応ワクチンをめぐり日本で、世界で起きたことについての哲学的な考察であり、ワクチンの医学的、科学的な有効性や安全性などの評価は全くしない。推進する政府やその応援団の言説がいかに欺瞞に満ちているかを分かりやすい言葉と論理で説く。ウィトゲンシュタイン、フーコー、デリダ、ポパー、ヒューム、カントなどの引用で論証を進める中で強く印象に残るのはクリフォード(初めて知った)とハンナ・アーレント。無批判、無考察なワクチン接種は「凡庸な悪」につながるとの考察は一読に値すると考える。2023/01/29
spatz
14
著者も何度となく念を押しているのだが、「コロナワクチンの是非」を議論するものではない。世に出回るたくさんの関係本はどうしようもなくソレなので、それと一緒にしてはならない。 コロナワクチンのPro/Kontraを取り扱わないでレベルでワクチンについて論ずる、という試みは、つまり、我々の思考そのものについての論考であり、大きく言えば、コロナワクチンは、その一つの例に過ぎないということ。 いくつかの哲学者や思想家の研究を挙げながら、考えること、信じること、行動すること、について述べる。 2023/06/09
snow
3
ずっと言葉にできないもやもやと感じていたものがすっきりしました。2023/01/26