三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと

個数:1
紙書籍版価格
¥2,530
  • 電子書籍
  • Reader

三階 あの日テルアビブのアパートで起きたこと

  • ISBN:9784909542427

ファイル: /

内容説明

舞台はテルアビブ郊外にある瀟洒な三階建てのアパート。一階の若夫婦は、同階の高齢夫婦に子守りを頼み、良いご近所付き合いをしているつもりでいた。しかし認知症を発症した老人と彼らの九歳の娘に不幸な出来事が襲いかかり、傷ついた夫は一線を超えてしまう――。二階では、不在がちな夫を頼りにできない、若い母親が二人の子どもの育児に追われている。疲労から幻聴や幻覚に悩まされる彼女の前に、義理の弟が現れ、彼女と子どもたちに新しい風を吹き込む。しかし彼は詐欺事件の容疑者として警察に追われていた――。三階には元地方判事の女性が住んでいる。一年前に夫と死別し、若者の市民運動に身を投じるようになった彼女には、人には言えない、断絶してしまった息子との苦い思いがあった――。交わることのなかった一階から三階までの住民が、ある出来事をきっかけに、互いに作用しながら現代イスラエルの大きな変化の波に飲み込まれていく。イスラエルのベストセラー作家が描く、サスペンスフルで、最後には登場人物を解放の光で満たす、感動の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

71
”現代イスラエル文学の金字塔”との言葉も伊達ではない。三層でそれぞれ味わいの違う物語に舌鼓を打った。一冊で重厚な小説が三つも楽しめた満足感がある。副題の真相が明かされるのかと勝手に期待しながら最終章を待っていたため、その分で少し予想が外れた形にはなったが、結果的にはそんなのを忘れさせるほど惹きこまれてしまった。タイトルの本当の意味を独白するあの一文には思わず唸り声をあげた。訳者はこの小説が翻訳デビューらしい。誤字脱字は校正不足としても、訳文自体はとても読みやすいものであった。これからの活躍も応援したい。2022/09/12

R

31
アパートで起きた事件というでもない、ある日の出来事といったことが各階の住人それぞれにあって、そのことを第三者に語るといった感じの物語なんだが、同じアパートの話なんだが、それぞれは特に関係もなく、それぞれの日常といってしまえるものだけども、むしろそんな毎日の積み重ねが生活でもあると感じたんだが、そこが論点ではないと思う。難しい。未来に向けて明るい気持ちが芽生える内容でもあって、なんだかんだ楽しめた。2023/09/14

星落秋風五丈原

19
同じアパートに住んでいる住民が微妙に知りあいだがそこまで深く付き合わない。全て一人称語りなので読者は語り手の心情にひきつけられる。2022/10/09

5
「たいていの事実は黒と白の中間にあるのではないか。その濃淡を書くのが作家の努め」作家の奥田英朗の言葉だが、まさにこの小説を表している 三人の主人公が感情と倫理、情緒と理性の間で揺れ動く様子を繊細な文章で書いている 初翻訳らしいが訳文の質も高い2022/12/04

ishida

3
ナンニ・モレッティ『3つの鍵』原作ということで読んだ。映画ではあまりフロア間の言及はなかったが、読んでなんとなく納得2022/10/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/20107710
  • ご注意事項

最近チェックした商品