内容説明
「サッパリ、書けん。」
悪友親友への便りに垣間見せる素顔の風太郎。
早くに両親を亡くして世話になった親戚への消息、恩師との交流。
最も気が合った高木彬光氏との合作の相談、横溝正史氏ともども家族ぐるみの付き合い。
江戸川乱歩をはじめ、角田喜久雄、鮎川哲也、中井英夫、色川武大、筒井康隆、髙峰秀子、安野光雅、横尾忠則、中島河太郎の各氏から届いた書簡、ドイツ文学者西義之氏との往復書簡もあわせて収録。
「医者より小説の方が小生の本性には合致している」
戦時中に単身上京して、軍需工場に勤めながら受験勉強を続けて医学専門学校に合格。1947年に「宝石」の短編懸賞に応募した「達磨峠の事件」が入選。50年に新制医科大学を卒業するも作家の道を選択し、忍法帖シリーズで大人気作家に。世相に対する鋭い批評から、気のおけない仲間に漏らす本音まで飾らない魅力が満載。
山田風太郎生誕一〇〇年記念
感想・レビュー
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やいゆえよ
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今の人は手紙を書けるのだろうか? 拝啓とか前略とか意味のわかる人の方が少ないだろう……(私もあやふやだ)。もっとも現代人の書いたものの方がネット上に延々と残り続けるのだろうが……。2023/03/10
湯豆腐
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山田風太郎生誕100年を記念して発売された、戦後から平成に至るまでの書簡集。戦前の書簡を集めた『山田風太郎疾風迅雷書簡集』よりも、より多くの友人知人とのやり取りが収録されていて、多面的にその時々の風太郎の実像が伺える。印象的なのは、忍法帖から明治ものに移行する(そしてその間に三島の死と『戦中派不戦日記』の刊行がある)1970年前後、明治ものから室町ものに移行する1988年前後、最後の小説『柳生十兵衛死す』が執筆された1992年前後の三度にわたって「もう書けない」と多くの知人にこぼしていたこと。2022/11/01