内容説明
ひとりでも寂しくない。 私はもっと、強くなれる――。 「あなたのご先祖様を調査いたします」 風子は、母と生き別れてから20年以上、 野良猫のように暮らしてきた。 東京は谷中銀座の路地裏で、探偵事務所を ひらいている。 「曾祖父を探してください」「先祖の霊のたたりか もしれないので、調べて」など 様々な、先祖の調査依頼が舞い込む。 宮崎、岩手、沖縄…… 調査に赴いた旅先で美味しい料理を楽しみながら、 マイペースで仕事をしている風子。 いつか、自らの母を探したいと思いながら―― 大人気作家による「探偵小説」の傑作が、ここに誕生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
475
新川帆立さんの5冊目は単発物で全5話収録の連作短編集ですね。本書のヒロインの邑楽風子(おうらふうこ)は孤児の身の上で姓は拾われた土地の名前で名は演技が良いからと名付けられた依頼人のご先祖様を調査する先祖探偵で、著者の作品には意志の強い人物が多く登場しますが、天涯孤独でありながらひとででも淋しくない決して負けずにもっと強くなれると信じる強靭な性格の人物ですね。依頼人を調査する内に次第に犯罪事件や厄介事が浮かび上がるというハードボイルド調の物語で、また日本全国の土地の名物料理が紹介されて食欲をそそられますね。2023/07/23
旅するランナー
298
東京谷中のへび道と呼ばれる路地に事務所を持つ先祖探偵。戸籍をたどって、ファミリーヒストリーをめぐる。ストーリーに、主人公が訪れる地方の歴史·風習·名物を絡ませるのが面白いです。新しいカテゴリーを切り拓いた感じ。千疋屋フルーツゼリー·空也もなかなど、手土産選びのセンスも高いです。捨て子だったという主人公本人の両親の秘密が徐々に分かっていくミステリーも読みどころで、終盤に向かって深い読みごたえにおおわれてきます。2023/01/03
うっちー
288
また、新しいシリーズですが、なんか同じような感じ2022/08/06
とろとろ
270
この作家さん最近集中して読んでいるな。前の公取の話2冊は、そもそも公取の権限が限られているから、小説でもその範疇でしか書けないというジレンマがあったのでは?。その点、こちらの表題だとかなり自由に行動出来るから、従って小説の中でも大胆な展開が可能なんだなと思ったよ。最後のオチは大団円だったけれど次の伏線も張ってあるように思う。こっちの探偵業の続きの方がはるかに面白い話になるんじゃないかな?。文中「キミン(棄民)は戸籍を取れないが、キジ(棄児)なら戸籍を取れる」と言う一文が俊逸で、これが話の発端だったんだな。2022/11/14
さんつきくん
219
NHK「ファミリーヒストリー」が好きな私にとってはドンピシャな一冊。連作短編集。主人公の邑楽風子は依頼人の先祖を探す探偵をしている。それぞれの章ごとで受ける衝撃は異なるが面白い!依頼人の戸籍を遡り、先祖の戸籍にある住所へと出かける。地元の人に聞いたり、図書館で調べたりと詳細を探る。その過程で意外な真実に読む側もびっくりしたり。岩手県遠野に行って、依頼人の先祖と地元の人との誤解が現代で和解したり。私も私の先祖が何をやっているの詳しく知りたいと思いながら読みました。最終章では主人公の先祖を辿る旅に出たりする。2022/09/22