ちくま新書<br> 思想史講義【明治篇Ⅰ】

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ちくま新書
思想史講義【明治篇Ⅰ】

  • 著者名:山口輝臣【著者】/福家崇洋【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2022/10発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784480075147

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内容説明

四巻シリーズによる近代日本思想史の起点となる本書では、明治維新をめぐるさまざまな思想を考察する。文明開化は単なる「西洋化」だったのか。富国強兵は本当に維新当初からスローガンだったのか。最新の実証的研究に基づく16のテーマと8本のコラムにより、諸思想を掘り下げて検討。多彩な論点で歴史を行きつ戻りつたどることで、思想史の力を引き出し、従来の単線的な明治維新像を刷新する。過去を考える意味とおもしろさがわかる、これまでにない明治維新思想史入門。

目次

刊行の辞……山口輝臣・福家崇洋
はじめに……山口輝臣
起源と帰結
江戸と明治
内と外
内容と枠組
第1講 王政復古……清水光明
明治維新と「王政復古」
メディア環境の変化──起点としての天保一三年六月令
尊王攘夷思想の展開と機能
徳川創業への「復古」構想
遡行する「復古」構想──武家政権・摂関制以前へ
「王制復古」構想の展開──議会設立と大政奉還
「神武創業ノ始」への「復古」──同床異夢の受け皿
第2講 祭政一致……山口輝臣
政教一致ではなく祭政一致
王政復古・神武創業・祭政一致
祭政一致の起源──北畠親房
変転する祭政一致──闇斎学と水戸学
政はマツリゴトにあらず──本居宣長
祭政一致と神祇官──明治維新
祭政一致はどこに行ったのか?
第3講 公議……奈良勝司
「公議」と「公儀」
幕末政局と政治参加枠の拡大
議会構想の系譜
「言路洞開」の隘路
〈正しさ〉をめぐる闘争
維新政権と二つの〈一致〉
明治六年政変と多数決の制度化
第4講 修史……佐藤大悟
修史とは何か
修史事業の開始
歴史課
修史局・修史館
修史の実用性
修史館の廃止
修史の終わり
第5講 万国公法……川尻文彦
万国公法とは国際法のこと
日本ではどの『万国公法』が読まれたのか
日本において『万国公法』はどのように読まれたのか
『万国公法』は「性法」を強調したのか?
オランダから来た『万国公法』
万国公法を外交交渉で活用する
万国公法は「公理」ではない
第6講 征韓と脱亜……小川原正道
征韓論争の勃発と経緯
保守派・急進派士族の征韓論
福沢諭吉と朝鮮の出会い
「脱亜論」への道
自由党の朝鮮改革論
民権派の東アジア観
第7講 自由民権……真辺将之
自由民権思想研究の状況
近年の動向
「民権」・租税共議権・天賦人権
「自由」の思想
「愛国」と「結社」
「公党」論の陥穽
立憲改進党の二大政党制論
第8講 政論……松田宏一郎
「政論」の登場
「政論」対「専制」
「政論」の読者拡大
「機関新聞」と「独立の政論」
「政論」とナショナリズム
第9講 郡県と封建……湯川文彦
「良い統治」を目指して
郡県制への期待
私心なき統治にあるべきもの
郡県・封建論争をこえて
廃藩置県後の郡県論
郡県制と議会制
第10講 富国強兵……鈴木 淳
「富国」と「強兵」
幕末の富国強兵
教導職の富国強兵
当局者による富国強兵再定義の試みと放棄
富国強兵の広がり
第11講 文明開化……谷川 穣
文明開化は「西洋化」か?
「豚」は近代の産物
角田米三郎の「豚策」──飢饉対策と富国強兵
豚一〇〇万頭計画──豚の利点と増産方法
投機と「国益」と──入社する人びとの思惑
「無用」を「有用」へ──角田の文明開化論とその行く末
佐田介石──仏教天文学と舶来品排斥のあいだ
消費社会の構想──「二十三題」
「無用」は「有用」──介石の「皇国固有ノ開化」論
文明開化の差異と広がり
第12講 人種改良……横山 尊
日本優生学の祖、福沢諭吉という問題系
福沢諭吉の遺伝決定論
明治中期における「人種改良論」の本来の射程
雑婚をめぐる論争とその影響
日本優生学の先覚者としての福沢諭吉〈発見〉
一九七〇年代の人口資質政策と福沢諭吉
第13講 国語……安田敏朗
「新しい漢語」としての「国語」
文明開化と国語──その不備をめぐって
制度としての国語
通じない話しことば──「同邦」という圧力
象徴としての国語──血肉化する「母のことば」
第14講 自治……渡辺直子
自治之助、お自治
福沢諭吉の「自治」と「治権」
三新法の「自治」
一八八四年の改正
日本旧来の町村に発見された「自治」
市制・町村制の「自治」
府県制・郡制の「自治」と井上毅の批判
福沢諭吉の「立憲」と「自治」
地方制度が「自治」制であるということ
第15講 衛生……赤司友徳
「衛生」の経験
福岡藩の種痘事業と武谷椋亭
藩立医学校・賛生館の設立とその機能
「衛生」に関する認識の変化
医療・衛生政策と医学書の出版
近代衛生行政の課題──種痘事業、薬事統制
長与専斎の「衛生意見」
近世の「衛生」経験と長与専斎
第16講 元気……高山大毅
「元気」という言葉
「元気」の来歴
「振気」論の発想
「振気」論の展開と「元気」
「振気」の手段とその後
コラム1本願寺……辻岡健志
コラム2アイヌ……マーク・ウィンチェスター
コラム3琉球……草野泰宏
コラム4亡命朝鮮人……茂木克美
コラム5玄洋社……石瀧豊美
コラム6新聞……寺島宏貴
コラム7士族……内山一幸
コラム8宣教師……藤本大士
編・執筆者紹介
人名索引
凡例

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

バルジ

4
これまでの〇〇史講義シリーズの中で最も重厚。明治維新という近世と近代の激変期を「思想」という切り口から現代を考える上でのヒントを与えてくれる。各章刺激に満ちて大変面白いが、個人的には「王政復古」「公議」「自治」「衛生」「元気」の論考がお気に入り。明治維新の思想的基盤は何も西洋の衝撃で生み出されたものではなく、これらの刺激からむしろ風習の中に「概念」を発見する。そしてその概念は欧米の学問的知見と融合し、日本の「かたち」に合う概念へと昇華する。本書はそうした思想における「相互作用」を存分に楽しませてくれる2023/03/29

Suzuki Koichiro

1
読書メーターのアルゴリズムに文句あり。「思想史講義」と打ち込んでも大正篇はヒットするが、本書はヒットせず、『明治史講義』など、全く関係ない書籍が大量にヒットする。ISBNを打ち込んでようやくヒットしたが、この仕様は非常に不便である。2022/11/17

つじー

0
思想というよりも、一風変わった切り口で明治時代を解説した本と僕はとらえた。新たな発見もちらほらあっておすすめ。僕は「王政復古」、「本願寺」、「衛生」あたりの分野が非常に興味深く楽しく読めた。「神武天皇時代がどんな時代かなんて誰も知らないんだから、西洋文明取り入れても問題なし!!!神武に復古や!」って論理で改革進めていったの死ぬほど笑ったし、東西本願寺の法主が明治初期には天皇に並ぶほどのカリスマ性を持っていたことにはおどろいた。浄土真宗強い。2023/02/27

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