内容説明
「文學界」掲載時から大きな話題を呼んだ連載が書籍化!
約20年もの間、評論の言説がほとんど追いつけなかった、その規格外の才能を、歌詞・和音・構成・歌唱・意匠から統合的に論じる。
『無罪モラトリアム』から『音楽』まで、椎名林檎の音楽を「演奏」するように批評する、革新的音楽論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
文芸誌のバックナンバーでたまたま目に留まった連載の文章に惹きつけられて、この歌い手の歌を全く知らないのに知りたい気にさせられ、図書館で借りて読み、AppleMusicで検索して聴きながら読んだ。音楽家への愛と敬意に溢れつつも、楽曲の分析は知的で冷静で、同時代の音楽界への俯瞰的な視点もあり、この種の音楽に無知な私にとって啓発的だった。たいていの流行歌は予測可能(コード進行とか、この辺でサビが来るとか)なのだけれど、この人の音楽は予測不可能で、常に驚きがある。東京事変と組んだ OSKA の前衛性が好み。2024/12/22
しゅん
20
コード進行・リズム・テクスチャー・歌唱・歌詞と不足なく言及する分析を主軸にしつつ、椎名林檎本人の言説を無視しない。「r」音の巻き舌の頻度を確かめていく分析が特に面白い。読んだ後だと『歌舞伎町の女王』の聞こえ方が変わる。時間軸上に活動を追っている構成は単純ではあるけど、デビュー期と以降は曖昧にしか聞いてなかった立場としては、その変化と連続性を知ることができてありがたい。東京事変のアルバムはある程度同質に聞こえていたので、それぞれの違いの強調に虚を突かれて楽しくなる。2022/10/11
スリカータ
17
椎名林檎さんはドライブのお供にスマホに数曲入れている程度の浅いファンだが、この本は椎名林檎さんを語り尽くした感があった。譜面やコードの記載はひとつひとつ解読すると時間が幾らあっても足りないので、総論的な部分と特に自分が好きな曲をピックアップして読んだ。椎名林檎さんの色褪せぬカリスマ性と著者の熱量を感じる本。2022/11/28
ふなこ
15
深読み禁止令が出ているというのに、何故こんなにも深読みせずにはいられないのだろうか。一曲一曲再現しながら存分に楽しめる一冊。2023/01/14
うつしみ
14
象徴界=掟への嫌悪、諦念と欲動の分裂、死の匂いが生を強烈に感じさせ輪廻する。事変では他力の境地に至り事変を離れてはモノホンと協働し、ファンを置いてけぼりにしてでも常に別様の可能性を模索し続ける。一貫しているのは自由への渇望と矛盾をも呑み込む貪欲な姿勢。最近は貪瞋痴の三毒やそれを喰らう孔雀王になぞらえている。副題は大杉栄「美はただ乱調に在る」より。「奥床しき教科書を全部廃棄処分しろ」ー筆者も大ファンなのだ。理解が深まった。まぁここで御託を並べるのは野暮っちゅうもんで揺さぶられた感覚と情動が全てでありんすが。2024/06/13




