内容説明
「平穏な生活のために、姉を殺すことにしました」――。三月生まれの倉石麻友と、四月生まれの姉・凜。ふたりは生まれの近い年子のため、同学年として同じ高校に入学した。高校二年生になった春、麻友は姉を殺す計画を立てる。姉は誰もが振り返るような美少女だが、実は意地悪で残酷。幼いころからいじめなどの問題行動を繰り返していた。ずっと「毒姉」との決別を夢想しては敗れてきた妹の、試行錯誤の行方は? そして、妹自身が抱え続ける罪とは――。思い込みから解き放たれ、自由へと向かうサスペンス青春エンターテインメントの傑作!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hanchyan@ふむ……いちりある
28
♪だ〜れもいない海〜2人の愛を確かめたくって〜♪というわけで。シュトゥルム・ウント・ドラング真っ盛りちう17歳JKのビルドゥングスロマン。強大な敵に挑もうと立ち上がった……筈の勇者(候補)が、なんだかグダグダいってなかなか旅立たないぞ的な、いわゆる『英雄譚』の変調として楽しむことも可。物語のほとんどが徹底的に『私』の思弁の描写に費やされている、ていう視座に立てば、これはもう紛れもなく、もはや古式ゆかしい『日本文学』でもある。とか言うとたいそうな感じ(笑)だけど、巻を通じて楽しく読めることは請け合います。2024/10/21
米太郎
25
・タイトル通りの悪い姉でした。高校生の日記を読んでるようで、懐かしさも感じた。2023/12/08
seba
21
渡辺さんの歯切れ良い文体を以てしてもと言うべきか、むしろだからこそなのか分からないが、読んでいて精神的に疲れた。だがそこも含めやはり面白い。高二の麻友には年子で同学年の姉がいる。明らかなのは、この姉は美しく、そして性悪であるということ。平穏を得るために姉を殺す他ないと麻友は考える。読者の目の前で行われる姉の一発目の悪行(LINEの文面)が強烈。その邪悪さには根拠は無く、ただただ高純度(高濁度?)。家族という関係性の中では、時に距離感が変に浸潤することがあり、手に余ってそこから逃れられなくなるのだと思った。2025/01/02
aisapia
15
悪い姉と常識人の妹。姉の悪さはどうしようもないけど、世の中にはこんな人もいるのかも…と、まゆちゃんと一緒に色々考えてしまう&考えさせられてしまいました。まゆちゃんの冷静さがまたピリッとした緊張感と静けさを与えてくれる。和魂と荒魂みたいだなぁとも思える。 渡辺優さんの作品 やはり結構好きです。2022/10/18
Mayrin
14
姉はアレだけど、まわりの人たちが良くて嫌な気分にならずにすみました。面白かったです。2022/09/03