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内容説明
「海軍が最後まで譲らなかったのは、自動的参戦はいやだという一点にありき」(井上成美海軍大将)
日本海軍はなぜ太平洋戦争に突入したのか?
この議題を元に、敗戦間もない1945年12月、生き残った日本海軍最高首脳者による、極秘の戦争検討会議が行われていた。
永野修身元帥以下、開戦前後の軍政軍令の責任者、幕僚など29名が参加し、翌年1月にかけて、この特別座談会は4回行われる。
記録を託されたのは、戦時中に東條を批判して懲罰召集をされた「竹槍事件」の新名記者だった。
海軍などの助力で召集を解除され、海軍報道班員として敗戦を迎えた氏が、30年以上秘蔵した後に公開した一級資料、復刊!
解説・戸高一成
※本書は、1976年12月に毎日新聞社より刊行された作品を新書化したものです。底本には1976年の初版を使用しました
【目次】
「海軍特別座談会」について<序に代えて>
大東亜戦争開戦前の国内情勢――特別座談会(昭和20年12月22日)
三国同盟――第一回特別座談会(昭和21年1月17日)
満州事変から太平洋戦争へ――第二回第一次特別座談会(昭和21年1月22日)
日米開戦に至るまでの用兵、戦備――第二回第二次特別座談会(昭和21年1月22日)
「海軍特別座談会」出席者略歴
付録 井上成美航空本部長 申継
陸海軍中央統帥組織
陸海軍等主要職員一覧表
年表
あとがき
解説 戸高一成
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
62
最後の海将米内光政が企画した座談会の記録を、委ねられていた編者が丁寧な解説と注を付けて1976年に出版したものの新書化。もちろん時代的制約もあり(重要な相違点は編集注が入っている)、また録音起こしでなく、現場で聞いた話を参加者がまとめたものなので、少し臨場感には欠けるが、やはりこの基本資料が手軽に読めるのは嬉しい。井上成美の航空本部長申継という重要な史料もあり、改めて井上の先見の明に驚く。彼を軍政から遠ざけたこと自体が、海軍の大きな失敗だろう。他の発言者の内容には、敗戦直後らしく歯切れの悪さもあった。2022/10/21
樋口佳之
58
真珠湾攻撃の出師準備の経過などとってもここで話されていることをすべて真に受ける必要はないのでしょう。/痛罵とも言える発言をされている井上氏を除き、敗戦直後、ほんと間もない時期にこうした座談会が開かれ、最高幹部と言える方ばかりの皆さんが、冷静に事態を振り返り議論をすすめていること(文書だからかも?)がむしろ怖い。/井上航空本部長申継は初めて読む文書でした。2022/10/23
CTC
16
10月の角川新書新刊、底本は76年毎日新聞社刊の初版。編者は「竹槍では間に合わぬ」の新名丈夫だ。海相米内光政は45年9月2日に[大東亜戦争戦訓調査委員会]を設置して❶敗因とその因由(重複のようだが、何故?と3回問うのがトヨタ式だったかな) ❷今後の状況判断 ❸新日本建設上の所見(戦争責任問題含む)を導いた。結論は10月9日までに軍事参議官らによって纏められたが…米内は更に非公式に、開戦経緯について関係者証言を収集した、どうも昭和天皇の求めに応じてらしい。それが本書の基の会議である。2022/12/27
千本通り
9
この本だけを読むと「満州事変、日華事変へと突っ走った陸軍」、「三国同盟を結んだ外相松岡洋右」、「信用できない首相近衛文麿」が先の戦争の悪玉だったという結論になるが、実は陸軍も佐官クラスながら昭和51年から53年にかけて「反省会」を行っている。雑誌『偕行』に掲載された「大東亜戦争の開戦の経緯」がそれで、半藤一利氏が「なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議」と題して文春新書にまとめた。それによると、陸軍も海軍もアメリカと戦争したら持久戦以外にあり得ないということでは一致していて2024/02/05
YS-56
4
勝手に誰かに期待することの愚かさ。教訓として活かされているのかな…。2023/07/02