内容説明
日本では1000万頭近い猫が飼われているといわれますが、その多くが腎臓病で亡くなっています。猫に塩分を控えた食事をさせて日々気をつけていても、加齢とともに腎機能は必ず低下してしまいます。そんな猫の腎臓病の原因は、これまでまったく不明でした。
そんななか、宮崎徹先生が血液中のタンパク質「AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)」が急性腎不全を治癒させる機能を持つことを解明しました。猫は、このAIMが正常に機能しないために腎臓病にかかることもわかったのです。
このAIMを利用して猫に処方すれば、腎臓病の予防になり、猫の寿命が大幅に延び、現在の猫の平均寿命である15歳の2倍である、30歳まで生きることも可能であるとされています。
──これは、愛猫家にとっては、とてつもない朗報です。さらに、AIMは、猫だけでなく人間にも効き、また腎臓病だけでなくアルツハイマー型認知症や自己免疫疾患など、これまで〈治せない〉と言われていた病気にも活用が期待されます。
本書は、最新医療の研究現場のリアルを伝えます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
128
評判に違わず、とてもいい本だ。多くのネコが腎臓病で天寿を全うすることはよく知られている。そのメカニズムを解明し創薬を目指す感動の物語である。難しいはずの医学的な解説もわかりやすく非常に説得力がある。研究や医療に対する著者の姿勢が素晴らしい。「治せない病気」が余りにも多いことに驚愕し、臨床医から基礎研究者に転向。日本と欧米との研究環境の違いに戸惑いながら、専門性に埋没することなく、獣医師らとの交流を通じてネコの腎臓病治療薬の開発に辿り着く著者の姿には、医師としての善意があふれている。心温まる感動の一冊だ。2022/01/05
アキ
107
著者は東大大学院医学系教授。免疫の研究でマクロファージの細胞死を抑制する分子をAIMと名付け、動脈硬化から腎臓病に効果があることを発見した。そしてネコ科の動物の多くは腎臓病で死に、AIMが機能していないことがわかった。そこで15歳の腎不全末期のネコにAIMを投与したらすぐに元気になった。そこでベンチャー企業でネコ薬の開発を始めた。ただ新型コロナで中断しているのが現状である。 https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=5642_01_37821412022/05/17
アナーキー靴下
84
以前つぶやいた、猫の腎臓病治療薬の研究者が著した本で、図書館予約したもののなかなか番が来ず、流石の猫パワー。今年4月の時点で集まった寄付は3億超らしく、これも猫パワーゆえだろう。本書は著者の自伝的様相が濃く、中盤までは表紙詐欺を掴まされた気持ちだったが、猫の話に移ると自然と背筋が伸びる思いになり真剣に読んだ。本書時点では開発中の猫用一般食は既に商品化されているが、この本を読んだ後では猫フードはそれ一択なのではと思わせるほど。著者は既に東大を離れAIM医学研究所を設立、そちらで研究を継続しているらしい。2022/08/09
涼
72
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-b763e0.html 紹介文に「最新医療の研究現場のリアルを伝えます」とある通り、猫の腎臓病を治す「AIM」の発見について語られています。早く、人にも応用できるようになってほしいものです。2023/01/02
読特
54
「いつまでも元気でいてくれ」、愛猫を見つめてそう願う。叶わぬことと知りながら。いつかその日がやってくる。その日は遅い方がよい。・・腎臓病はネコ科の遺伝病。特効になるAIMの発見。膨らむ期待。愛猫家が待ち望むが、薬の開発が新型コロナで止まってしまった。原因は開発企業の資金難。根本は緊縮財政だろう。腎臓病、アルツハイマー、新型コロナ、ヒトへの効果の可能性もある。国が乗り出してもいいはずだ。そんな中での朗報。AIM入りのペットフードを出すという。さあ、期待。デフレに病めるこの国へ。”緊縮脳”完治の願いもこめて。2022/02/11
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